両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)

2006/05/24(水)21:43

ゼイヴェルとスクウェア・エニックス、F1層の女性向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)開始

IT活用(46)

このニュース、本当はアパログさんの「両国さくらの☆ネットでファッション☆」の方に書いた方がいいのだろうが、そちらには今日は別の話題を取り上げようと思うので、こちらでご紹介させて頂くことにしよう。 今朝の繊研新聞さんのトップ記事よりは、このニュースの方がネットやモバイルの業界人にとっては余程大ニュースだろう。良くも悪くも(笑)ファッション業界の風雲児になっている、ゼイヴェルさんの話なのだが。 {ちなみに、フランスの「ジャパン・エキスポ」は、誰でも出られるようなイベントのようですしね(さくらの知人も何年か前に出てます)。アルバローザ・ジャパンは、実際の企業運営はアパレルのプロに任せる、いわゆる投資のようなもので、ゼイヴェルさん本体にとっては痛くも痒くもない事業だ。繊研新聞さんをご購読でない方は、何のことやらおわかりでないだろうが、是非お金を出して読んでチョ。} しかし、こちらのビジネスモデルは、ネットやモバイルビジネスのツボを知らない人間にとっては、恐らく手も足も出ない範疇のもの。さくらと同年代以上の、アナログ世代のファッション業界人の発想では、思いつきもしないものだと思う。 ◆ゼイヴェル・グループとスクウェア・エニックス、「株式会社スタイルウォーカー」設立(ゼイヴェル公式ホームページ) ◆スクウェア・エニックスが女性をターゲットにしたソーシャルネットワーキングサービスを提供(ファミ通.com) ついおとつい、私は、「両国さくらの☆ネットでファッション☆」に「mixiミュージック」について、「このようなサービスをファッションでもやれるはず」と書いた。ゼイヴェルさんとスクウェア・エニックスさんのビジネスモデルの一部は、私がイメージしていた形に近いものだ。 アバターは、Yahooさんなどで既にかなり多くのヤングに受け入れられている。アバターが着ている服を本当に買えたら、という発想は、当然その延長線上で出てきますよね。 このビジネス、果たしてどのくらいの売上規模になるのか? SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がらみの話題の常で、まずは収益よりも会員数を、ということなのか、「初年度50万人」という数字が掲げられている。 恐らく会費は他のSNS同様無料、アバターの洋服代なんてそんなに高くは出来ないだろうから、実質的な売り上げは通販で取っていくとして、50万人のうちの2%の1万人が月5,000円買ってくれれば月商5,000万円、年商6億円・・・オイシイビジネスだなぁ・・・とは問屋が卸さないはずなのである。 というのは、以前ヤングやキャリア向けレディスのファッション系ネット通販ポータルの大手企業さんに伺った話だと、パソコンのみのシステム投資に月1,500万円くらいかかってしまう、ということだったので。ニュースリリースによると、PCだけでなくケータイでもやっていかれる、ということは、サーバの管理運用だけでなく、PC用画面、ケータイ用画面→3キャリア対応に変換、と尚のこと投資の額は大きくならざるを得なくなる。 この辺を誰かに詳しく取材して頂きたいのだが、ゲームと違って、一度開発したら終わり、後はそのコンテンツからロングテールで回収、という訳にもいかず、人件費やその他の経費を考えても、数億円程度の売り上げでは、まだまだ割に合わない、というところが多い筈である。 今週号のWWDジャパンさんで、スタイライフの岩本社長が、「売り上げ30億円を超えた頃から黒字化し始めた」と語っておられるのは、前述の推論とぴったり合う話で、非常に納得のいくところだ。 ゼイヴェルさんはそのWWDさんの特集の中で、ケータイ通販の「ガールズウォーカー」、PC通販の「ファッションウォーカー」の売り上げを公表しておられない。恐らく、まだまだ実際は厳しい、というところなのだろうが・・・。 さくらが非常に気になっていることが1つある。それは、同社のケータイサイト、ページビューの数は26億~28億ビューと、他のファッション系通販に比べてケタ外れに多いのだ。 同社はそのことを恐らくアパレルさんへの営業の際の武器になさっておられると思うのだが、この点が実は、ネットビジネスの業界で次第に明らかになりつつある成功モデルに合致しないところが大きいのではないかと私は思っている。 ネットの成功パターン、というのは、今、両極に分かれつつある。GoogleやYahooの検索連動型広告、ではないが、圧倒的多数の利用者を集めて、薄く広くお金がチャリンと落ちてくる仕組みを作る、というもの。mixiなんかも、最初は「儲かってんの?」と言われ続けてきたが、先に集客をしておいて回収、という段階に入ってきていると私は見ています。 このビジネスモデルを取るには、とにかくサーバがダウンしたり、システムに不備が出ないように、徹底的な増強を続けないといけない、ということ。技術面で先行しなければ勝てない、ということもあって、多くの企業さんはこの領域に入るのは難しいようですね。 もう1つの、大多数の一般ピープル(笑)が取るべき道は、ページビューではなく、目的を持ってやってきてくれる顧客をしっかりとつかみ、そこで商売をしていく、というモデルである。大半のネット通販や、ビジネスサイトはこちらに入ると思う。 但し、実際はこの中間的な領域もあって、楽天さんとかリクルートさんなんかはそこをうまく攻めているし、アフィリエイト会社さんとか価格比較サイトさんなんかのように、ネット上での新たなサービスの創出や利用者の不便の解消を目指すというビジネスモデルもある。 ゼイヴェルさんは、正直、まだまだ楽天さんとかリクルートさんレベルにはなっておられないのではないか、というのが、私の考えなのだ。 但し、ケータイの世界はネットよりまだ未成熟、ということも言えるから、これからの頑張り次第、ということになってくるかもしれないけどね。 もう1点だけ書いておこう。実は、「F1層を狙う」というターゲットの問題も、実はビミョーなところだとさくらは思っております。 アバターそのものは、むしろ、もっと若いF0層(女子高生)の方が喜んで買うものかもしれないんだよね。 しかし、最終目的が「通販」の方にあるので、ここは女子高生ではなくもっと大人を狙っていく必要がある。 その辺の持って行き方、それがこのビジネスの成否を分けるように思うのだが。 実は、女の子、女性を対象にしたネットとかモバイルビジネスって、男性対象よりはかなり難しいように私は思っている。 女性は、例えばいわゆる「ネトゲ廃人(ネットゲームにはまりすぎて社会的不適応気味になってしまった人のこと)」なんかには男性に比べてなりにくいように思うんだ。 一時期何かにはまったとしても、離れるのも早い。友達なんかの意見もよく聞くし、大半の人が金銭感覚も含めてまっとうなバランス感覚を持っているように思う。 ただ、若い世代になればなるほど、ネットやPCを触っている時間というのはさくらのような年寄りよりは長くなっているのは間違いないだろう。先月、インターネットカフェに入り浸っていた時は、高校生くらいの女の子でいかにもゲーマーといった雰囲気でネット内の敵を凄まじい勢いで早撃ちしている女の子を見かけたし・・・。 今、「おしゃれ魔女ラブ&ベリー」に熱中しているような子供達があと数年でファッションデビューするようになれば、リアルでの着こなし以上にネット上での分身の着こなしのセンスの良し悪しが気になるようになるかもしれない。 その辺の感覚は、毎日どっぷりモバイルやネットにつかっている企業さんにしかわからないところがあるはず。但し、さくらが思うに、大いに男女差というのはあると思うんですよ。 女性ならでは、の微妙なツボをはずした時、ゼイヴェルさんの勢いは一気にそがれるかも、という気がしてならない。この秋は、同社が大きく飛躍する元となったモテ系から、違う方向にトレンドも触れていくように思うので、ひょっとしたら一つ一つの事業を確実に当てていかないと、実は正念場、を迎えつつあるのかもしれませんよ。 あっ、ついでに書いときますが、このSNSは出会い系、なんでしょうか(笑)、お願いだから、男子はいれないでチョ(爆)。 人気blogランキングへ

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