狂躁的非日常と日常

とある夏の終わり。
夏休みがわりにちょろっと旅行をしようと思いまして、朝イチの電車（青春１８きっぷ）で倉賀野駅（高崎駅の１個前）まで行きました。
そっからタクシーで千円ちょっと使って『群馬県立近代美術館』に。

こちらで8月末まで開催されていた「コレクション展示：井上有一　東京大空襲」を見に行ったのです。

なぜにこれを見に行こうかと思ったかというと、書道関係が大の不得意なあきらっくが書を見ることに興味を持ったきっかけを作ったマンガ『とめはねっ! 鈴里高校書道部』（河合克敏）の中で、主人公が『群馬県立近代美術館』へ、井上有一の「噫横川国民学校」を見にいくシーンがありまして、このインパクトがデカかった。





一度本物を見てみたいなと思ったのですけど、今回は「噫横川国民学校」ではなく「東京大空襲」という作品が展示されていましたのでそちらを鑑賞。
これもまあ、な作品です。





　井上有一は大正5（1916）年に東京の下町で生まれました。
東京府青山師範学校（後に東京第一師範学校、現在の東京学芸大学）を卒業して、東京市本所区にある（現在の東京都墨田区）横川尋常小学校（後の横川国民学校、現在の横川小学校）の小学校訓導（教諭）となります。

　第二次世界大戦中の昭和20（1945）年3月10日未明、300機を超えるアメリカのB29爆撃機によって、ナパーム弾などの焼夷弾を用いた、大規模で無差別な戦略爆撃が東京の下町に対して行なわれました。
死者・行方不明者数は10万人を超える、いわゆる東京大空襲です。
当夜、横川国民学校で宿直をしていた井上はこの空襲に遭遇 し、翌朝、おびただしい死体の中から仮死状態で発見されました。
彼は奇跡的に生き延びましたが、一夜にして横川国民学校だけで千人以上が死に、なにより卒業式のために彼が疎開先から連れてきていた、6年生の生徒8人もこの時亡くなっています。

　その日から、彼は東京大空襲の惨状をいつか表すことを自らに課して、小中学校で教職を続けながら書の前衛的表現を追究していきます。
定年退職後、東京大空襲から33年後の昭和53（1978）年、《東京大空襲》33点と《噫横川國民學校》3点を制作しました。
《東京大空襲》は全点同じ内容の詩（七言絶句）の形式をもつ、40日間で500枚ほど書いた中から選び出された33点で、そのうち30点が当館の所蔵になっています。

33年後の1978年に書かれてこれかってマジ思うのですけど、すごい作品です。
ちなみに近代美術館にはピカソのゲルニカのタピスリも展示されていたのですけど、こっちのほうがすごい。。

30点展示されていたので30分くらいかけて鑑賞させてもらいました。
（バスの都合もあったので）

ちなみに美術館の前に、リアルサイズ黒王号みたいな馬のブロンズ像があってちょっと面白かった。

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