秋桜に涙
娘が明日結婚します。数日前から、頭の中に「コスモス」の曲が流れっぱなしです。先日、認知症の母が喜ぶような番組をさがしたときのことです。歌番組があったので、チャンネルをあわせると、「コスモス」の曲が始まりました。百恵ちゃんが歌った「秋桜」には娘との思い出があって、歌が始まる前から「あーーーーー!」と声を出してしまいました。イントロから涙が出始めたのです。いつも私の傍らにいて肌を寄せ合っていた娘。小学校時代は、バレエの話しか口から出ない娘でした。バレエに夢中で、ルジマートフのアラベスクだかアチチュードだかが「すごいすごい!」と言ったかと思うと、「ルジマートフのお嫁さんにぜったいなる!」などと冗談のような話を目を輝かせて話す子どもでした。この頃ふと聞いた秋桜に、私はいつか嫁ぐ日が来ることを悟ってしまったのでした。将来の感傷場面の予告編を見てしまった感じです。疑うことを知らず、一点の曇りもないような夢の話の連続だった娘でした。私も夫も長男も、絵空事のような娘の話を大好きでした。三人がつい笑顔になってしまうような日々でした。私たちをいっぱい幸せにしてくれた娘を思い、なぜかこの秋は涙が滲む毎日です。「例え苦労はしても、いつか笑える日が来るよ。心配しないで・・・」リビングで咳を一つしました。