汝、何を悟ったか?
朝、まだ6時前でした。眠い目をこすって横を見ると、奥方様が僕の財布を開けて何やら電卓と睨めっこ中です。「おはよう。何やってるの?」「いや、お金の計算してたのよ。どうする?家賃、まだ払えないよ」そうやなあ・・・ どうするかな?「どうするかなって、払えないものは払えないんだから、払えないでしょ!」まあ・・・ ごもっともです。「で、携帯電話のお金。今月は一万円切ってるけど、お金ないよ。仕事で使えないと困るやろ?」まあ・・・ ごもっともです。「米は昨日、あんたの実家から10キロもらったし、野菜はまあ少しはあるからいいけど・・・ 今、うちにいくらあるか知ってる?」まあ・・・ だいたいは・・・「15,860円。分かる? 15万じゃないよ」はいはい、分かってます。「で、ガソリン代はいくら要るの?」まあ、週4000円かと・・・「じゃあ、今週は3000円ね」はいはい・・・「で、何でお金が入らないか、分かってるの?」えええ・・・ まあ・・・ 稼いでませんから・・・ ここのところね・・・「だから、どうしてそうなってるかってことよ!」どうしてって、言われてもなあ・・・「簡単なことよ」なんでしょう?「汝! 何を悟ったか?」ええ? 神様みたいなこと言って・・・ 厳しいなあ・・・「だから、どう悟るの?」どうって言われても・・・「だから、あんたは同じ事を繰り返すのよ」そうだっけ?「どうして、全財産を失ったか・・・ まさか忘れた訳じゃないでしょう?」えええっと・・・ まあ、焦ってたから。「何に焦ってたの?」ええっと・・・ お金を稼がなきゃってこと・・・「そうよね。 お金そのものを追ったのが間違いだったんでしょ」思い出した・・・「今、何が一番大事かということを忘れてませんか?」ええ・・っと・・・ 自分の根性を変えることかな?「そうよね。 だって、まだまだ根性腐ったままだもの」そんな・・・ そこまで言わなくてもいいのに・・・「だって、本当のことでしょ。 言われたくないことに耳を傾けないことも、まだまだ根性が変わらない証拠」へ~~~い。「また! そんな生返事をする! 腹立つオヤジだ!!」すんません。「あんたは、自分のどんな根性がいけなかったのか、分かったの?」どんなと言われても・・・「そうやろ! 分かってないから、続いているのよ」どうすれば・・・「何のため仕事してるのよ」食うためかな・・・「それは、そうだけど、仕事が回れば自然と食えるでしょ。食えないのは、仕事の目的を誤ってるからでしょ!」どういうことかな・・・「仕事を通じて、自分の過ちに気づいて、自分の根性を叩きなおすためでしょ」前にそう言われたなあ・・・「私ね。もう腹くくったのよね。あんたに稼いで来いって言っても、無いものねだりしてるのと一緒だって」そうですか「私は初めて分かった事がある」なあに?「お金がないときは、ないってこと」当たり前じゃんか「今までは、払うお金がないときに、払えないことが苦しくてもう、あんたに当り散らしたこともあったよね」はい、以前はそれが習慣でした。「でも、稼げれば問題ないけど、余計どツボに嵌るでしょ」それは、言える。「で、ないときは、ない! って分かったの」と言うと?「払えないときは、払わない!」なるほど・・・「確かに払わなきゃならない義務はあるよ。もちろん。だけど、払えない事実はスグには変わらないし、そのことに執着することが余計に事態を悪化させるのよ」そうだね。「だから、この私がよ! この私が・・・ 払えないときは、払わない! って決めたのよ」凄い! さすが奥方様だよね。「バカ! あんたのせいでしょうが!」すんません。「ともかく、仕事を通じて自分の根性を一日も早く叩き直して下さい。私はギリギリ節約する能力は十分にあるから」はい。「もう、あまり時間はないよ。国民健康保険も払わないといけないんだからね。真剣に、根性を持って、早く本当の自分を発見して、根性を叩き直してよ。それは、あんた自身にしか出来ないことなんだから。他人に言われて出来ることじゃないんだから。 子供が大事なら、今スグ真剣にやれよ」☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆この物語は事実を元に再構成された極一部フィクションです。奥方様がこんなに変わるなんて、考えも及びませんでした。女は弱し、されど母は強し奥方様はもっと強かった・・・夫婦って、前世でも夫婦だったってことをよく聞きます。そして、この世でお互いに欠点を亡くす修行をするために夫婦になるのだと・・・すると、奥方様が僕にこう言いました。「じゃ、今のこの世で一心不乱に修行して、完璧な夫婦になろう」って「ホントだね」って感激して答えると・・・「だって、来世まであんたと夫婦になりたくないもん」なぬ!「来世は、ヨン様よ! ヨン様!」夜中に何か見てるなとずっと思っていたら、「冬ソナ」見てました。でも、「全然、カッコ良くないじゃん」て言いながら、うちの奥方様でも無意識に夢中になるヨン様って・・・何者なんでしょうか?うちの奥方様は、何かに取り憑かれているのでしょうか?