052536 ランダム
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羽根と私とフワフワと。

あの場所





冷たい この空間





沢山の記憶が 俺の中で渦巻く





俺は 誰だった?





その柔らかく優しい微笑をするあんたは 誰だった?










あの場所





帰ってきて。あたしの元に。
お願い。貴方なしでは生きていけないから。


車椅子にいつも座っている彼。
ほんの数日前まで、優しい笑顔を浮かべていたはずなのに。
今は、喋る事も殆どできない。
あたしの事はわかってるのかな。忘れているのかもしれない。

確かに、彼があたしの知っている『クラウド』かどうか、わからない時があった。
でも、あたしはこの人が好き。あたしが好きになる人は、クラウドだけだったんだから。


「クラウド、おはよう」
みんなと離れて数日。
あたしはクラウドの世話をするために、ミディールに残った。
ここは、温泉で有名な町。
竜巻の迷宮でセフィロスに会った時、クラウドは自分を忘れてしまった。


クラウドは今、きっと自分と戦っているんだ。


「ティファさん、お仲間が来ているわよ」
看護婦さんの声が、後ろからした。
「はい、今行きます」
クラウドにちょっと待っててね、と一言行ってから出口に向かうとシドがいた。

「おう。やつはどうだ?」
「・・・全然変化なし。って、大丈夫なの?今はシドがリーダーなんだから・・・」
「構わないさ。結局、みんな何処かでやつのことを心配してる。あいつらには・・・もちろん、俺にもそして、お前にもやつは必要だってことだ」
ティファの顔に向けてシドの長い人差し指が伸びる。
「・・・・・・そう、だね」
「で、だな。そろそろティファも一回休んでみろよ。みんなで交代でやつをみた方が・・・「ごめん」」
ティファがシドの言葉をさえぎる。
「ありがたいんだけど、クラウドの世話・・・あたしがしてあげたいの」
「・・・・・・言うと思ったよ。んじゃ、こういうのはどうだ?」
シドは新しいタバコに火をつけながら言った。

「1日、クラウドもティファもハイウインドに戻るっていうのはどうだ?」
「・・・ハイウインドに?」
「ああ。その方がいいと思うぜ。気分転換もした方がいい」
「でも・・・」
「あ。勝手で悪いんだけどな、もう医者の許可は取ってあるんだ。さぁ、帰るぞ!」
「え、あ、ちょっとっ!」
シドはクラウドの車椅子を押しながら、ティファの手を引いた。

「そんじゃ、1日お借りします」
シドは看護婦さんに言うと、早歩きでハイウインドに戻った。


「ティファ!お帰り!」
「クラウド、帰って来てくれたんだね!」
ハイウインドに戻ると、ユフィとナナキが出迎えてくれた。
「お前ら、ティファとクラウドを部屋に連れてってやってくれ」
「わかった!」
「はいはーい♪」

「シド、クラウドが戻ったのか?」
コツコツと足音を鳴らして来たのは、ヴィンセントだった。
「ああ。ヴィンセント、艦内の調査・・・サンキューな」
フゥーと煙を吐き出しながらシドは言った。
「いや、私にできる事範囲なら大丈夫だ。それより、ティファの顔色がよくなかったな」
「・・・あぁ、もう・・・疲れてるみたいだ。今日はとりあえず、ミッドガルに一度飛ぶぞ。バレットとケット・シーを迎えに行く」
「了解した」
ヴィンセントは部屋に戻って行った。


「それにしてもっ、ティファとクラウドが戻って来てよかったよ!」
「寂しかったんだよ、ぼくたち!」
ユフィとナナキは一生懸命笑顔になる。
今のティファの顔色は白すぎて、とても疲れが出ている。
安心させてから休ませなければならなかった。
「ありがとう。でも、これからクラウドのご飯作らなきゃいけないから・・・ちょっと、キッチンに行ってくるわ」
すっとティファが立ち上がると、ユフィとナナキが慌てて止めた。
「いいのっ、ティファには休んでもらわなきゃ!」
「そうだよっ。お粥くらい、ぼくらだって作れるさ!ティファは休んでなきゃだめだよ!」
「あ・・・ありがと。でもね、クラウドをこんなにしちゃったのは、あたしの責任だから・・・」

俯くティファ。
ユフィはそのティファの姿を見て、掌を拳にした。

「クラウドが眼を覚ます時・・・ティファが元気なかったら、クラウド絶対に喜ばないよ!」
ティファは眼を見開く。
すると、ナナキもつられて言葉を続けた。
「そうだよっ!ティファが元気なかったら、クラウドは自分がティファをこんなにしたって・・・自分を責めるよ。きっと」
ティファは顔を上げる。
目の前では、ユフィの小指があった。

「だから、ね。約束しよ。指きり」


廊下を歩くのは、ユフィとナナキ。
ユフィの手にはお粥。
「ティファ、指きりしてくれたね」
「うん。とりあえず、安心できるかな」
コンコン、と優しくドアを叩くと、静かな風の音が聞こえた。
ドアを開けると、ティファの寝顔。
ユフィとナナキは笑顔を浮かべた。

今度は一生懸命じゃなく、心の底からの笑顔。


日が沈む頃、ミッドガルでバレットとケット・シーに合流した。
「クラウドが帰ってきたんだってな?ティファは大丈夫なのか?」
「クラウドはん、まだ元に戻ってないんか・・・でもま、クラウドさんはクラウドさんや。歓迎しましょ!」

ティファはゆっくりと瞳を開けると、クラウドが目の前にいた。
「あ・・・ごめん。ずっと寝てたみたいね。・・・今日はごめんね。ちょっと、疲れてたんだ」
「・・・・・・・・・あ・・・う・・・・・・」
ライフストリームの中で、たくさんの知識を流し込まれた彼。
生きているのが不思議だといわれた彼。


人はいつか、星に還る。
そして、生まれ変わる。
星に還ったひとたちの記憶を、貴方は見ているのね。


「ティファー!バレットとケット・シーが戻ったよ!クラウドも一緒に来て!ご飯一緒に食べよう!」
ユフィは勢いよくドアを開けた。
「う、うん。わかった」
苦笑しながら、クラウドの車椅子を押してユフィと共に、食堂に向かった。

パンパンパン!
クラッカーの音でビクッと反応するティファ。

「はっはっは。そんなにびっくりするな!今日だけでも気分転換に、な。一緒に楽しもう!久しぶりなんだから」
シドは、もうワインとウィスキーを両手にビンごと持っている。
「そうそう!ティファさん、ゆっくりしてってぇな。今日はゆっくり休みなはれ」
ケット・シーは食器を運んでいる。
ヴィンセントは無言で頷く。
「ティファ、疲れたろ。今日は休んでいけ。クラウドは気に喰わないけどな、こんな事でお前を忘れるやつじゃない。信じてやれ」
バレットはティファの手を引く。
「さぁ、座った座った!」
ユフィは1番手前の席にティファを座らせた。
「わぁい、ティファとクラウドの隣だ!」
ナナキははしゃぐ。


しばらくの間、楽しいひと時が続いた。
クラウドに料理を食べさせながら、少しお酒を飲む。
明日もミディールに戻って、世話をしなきゃいけないからだ。

「そうだ!ティファ!どこか行きたい場所あるか?」
シドがウィスキーの三つ目のビンを開けた時、ティファに聞いた。
「えぇっ、行きたいところ・・・そうね・・・・・・」


あの場所に行きたい。

貴方と出会って 恋をした

始まりの場所へ。


「ニブルヘイムに行きたい。あそこの近くの・・・草原に行きたい」


ハイウインドは大きく旋回し、ニブルヘイムに向かった。
クラウドとティファを降ろし、ハイウインドは草原に止める事にした。


「んー・・・いい気持ち」
車椅子をゆっくりと押しながら、夜風にあたる。
「クラウド、ちょっとお酒飲んじゃったでしょ。シドもバレットも酔ってたからね・・・勧められちゃって」
くすくすと笑うティファ。


「ねぇ・・・」

「いつになったら、還ってきてくれるの?」

「いつになったら・・・・・・」


不意に涙をこぼしてしまい、クラウドの頬に雫が落ちた。
彼が涙を流しているようにも見えた。
クラウドは、無表情のままでティファの方に顔を向けた。
それに気がつくと、ティファは一生懸命涙をぬぐい、笑顔をつくった。

「ご、ごめんっ。泣かないって決めてたんだけどね。ごめん」
「――――――――――・・・」
クラウドは小さい声で何かを呟いた。
「え・・・?なあに?」
クラウドの口元に耳を近づける。


「――――――――――――――ティ・・・・・・ファ・・・」


その言葉が たった一言の言葉が

あたしの身体を 貴方色に染める


「え・・・クラウド・・・・・・」
「ティ・・・ファ、ご・・・めん、言わな・・・・・・い」


信じたい かすかな光

必死で 手を差し伸べるから


もうすぐ 貴方が戻ってくる


「クラウド、約束よ。絶対に戻ってきて」
クラウドの頬に口付ける。


星空の下、ほうき星が空を翔けた。


(~管理人のコメント~)
長い!
なんでかしらんけど、長くなった;
H17/9/21


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