長男はずっと家にいる。昼夜逆転するときもあれば、サッカーや大リーグを見たくて起きる日もありで 本人に任せている。ずっとゲームと漫画とテレビでパジャマを着たまま、寝る以外はリビングで過ごしている。
高校野球の地方大会の初日だけ、5時に起こしてくれと頼まれ、1回声をかけたが起きなかった。
昼すぎに起きて来て、夕方『今日は開会式だったんだ』と静かに言った。
先々週のホームステイのオリエンテーションは具合が悪いから連絡してくれと頼まれた。
今週ホームステイ先も決まり、相手からメールが来た。それは長男に知らせたけど、相手の家庭にメールを入れたり、お土産を用意したり、ウエルカムパーティの準備やスピーチの原稿を書いたりアルバムを作ったり は 全くしなかった。
なかなか記入しなかった保険の申し込みに記入し、事務的な準備は整ったのが2日前。
提出期限を過ぎ 主人に『どうする?行かない?』と聞かれ『いくさあ』と書いたのだ。
しかし私とふたりきりの時
『ああ、プレッシャーで押しつぶされそうだ』と言うので
『ソルトレイクのこと?』と聞くと、
『親ならわかるでしょう。っていうかそれだけじゃないけど 言いたくない』と。
『嫌な事はしなくていいよ』と私。
翌日 昼過ぎに旅行会社からの書類が届き、渡そうとすると
『お母さん 本当に申し訳ないけど、今年はどう考えてもいかれない。
来年は留学行きたいけど。野球も忙しいだろうけど。
相手のホームステイ先にも準備してくれた人にも本当に悪いと思うけど、断って欲しい』
そう言った。
『うん。わかった』それだけ言って内容は聞かれないよう連絡。
『断ったから。預かったものだけ返して欲しいそうだから』と言うと
『カバンに入っていると思う』と長男。
私は正直ほっとした。行ったら楽しいだろうにと思うけど、あまりにもやらねばならぬことが多いホームステイだ。料理を家族に作ってあげるとか(カレーを作るつもりだと話してくれた)、日本文化を紹介するレセプションとか(柔道の相手になる予定とか)、パーティとか。
学校が辛いだけでなく いかれない自分を否定し二次的に辛くなり、それから離れるために挑戦しようとした事で更にまた辛くなる。
そういう余計な辛さをこれ以上増やしたくない。
よく、自分でいかれないことを認め 私に 伝えたと思う。ドタキャンありだと覚悟していたけど、あんなに面と向かって素直な心で向かい合ってくれるとは 思ってもいなかった。
何も触れずに全て任せて良かったと思った。
「展望は、極めて明るいなぁ。」とご縁の出来た方が少し前に 素敵な言葉を下さった。
ちょっとかみ締めている。