2007/02/07(水)02:48
修学旅行、お小遣い最低5万円の高校。
同僚の娘さんの修学旅行のお小遣いは、
「 最低5万円は持たせて下さい 」
と言われるものだった、と聞き、思わず目が三角になりかけた私。
でもそれは、故ある5万円だった。
娘さんは音楽高校。
就学旅行先は、ドイツとオーストリア。 5泊。
旅費は20数万円。
お小遣いの5万円は、
連日連夜、自分たちが目指し、観たい、聴きたいと思う
オペラやコンサートに行くお金だったのである。
、、、最低5万円。 納得した。
そして、遥か昔。
音楽高校へ行きたかった私の願いが却下されたことに、納得した。
幼少時代の私の夢は、
『 おかあさんといっしょ 』の うたのおねえさん、になることだった。
地元の少年少女合唱団へ入団。
合唱だけでなく、リコーダーの演奏も行なう合唱団で、
TVに出演したり、万博に出演したり、
アジア少年少女合唱祭などにも参加する、活発な合唱団だった。
それでも、小学校時代は、なんとかバレーと両立できたが、
中学へ入学すると、両立なんてとてもできなかった。
中1の夏休みが終わった頃から、先輩たちに呼び出されては
クラブか合唱団か選択を迫られ、辛くあたられる日が続き、泣く泣く合唱団を退団。
高校選択時に、音楽高校で声楽を目指したい、と父に訴え、却下される。
少年少女合唱団にも、父は反対であったのだ、と言った。
父は反対だったのに、母がどうしても娘の願いを叶えさせたがったから、
渋々認めていたのだ、と。
「 いろんな女性の生き方を僕は否定しない。
でも、自分の娘だけは、平凡な女性の倖せに在って欲しい。
音楽の世界で生き抜くことは、並大抵のことではない。
大成しなければ、音楽だけでは生きて行けないし、
音楽高校を出たからって、何がどうなるものでもなく、
音楽大学、その上、と、まだまだ長い道程が待っている。
そうなれば、広島ではどうしようもない。
だが僕は、結婚まで、娘を決して手元から離さない。
いずれは出て行く娘を、どうして早くに手放さなくてはならないのだ。
それに、そういった音楽の道に行かせてあげられるほど、うちは裕福でない 」
お金がないから、行けない。
「フツー」の道でないから、行けない。
当時の私には、とても理不尽に思えた父の言の葉だったけれど、
当時、父の言の葉は絶対、であったし、
辛そうにも見えた父をとても論破できそうもなく、諦めざるを得なかった。
そして大学で、合唱団に入り、昔取った杵柄でソプラノのパートリーダーになり。
大きな演奏会でのソロで、ヴォイストレーナーとして音大の先生がついて下さり、
その先生から、何故音大に行かなかったのか、と責められる。
そのとき、ぱぁん、と脳裡で何かが弾けた。
所詮、私の夢、ヤりたい、なりたい、、、、
そういったような私の想い、憧れは、薄っぺらいものでしかなく、
親の願い、親の涙を振り捨ててでも、
自力で掴み取ってやろう、と努力を試みてみるほどのものでもなかったのだ。
今在る自分の姿は、他の誰でもなく、自分自身が選び取り、歩いて来た自分の姿。
「 不本意 」だなんて言える立場どころじゃない。
いつまで、自分の姿の言い訳、責任転嫁をするつもりなのだ、と苦かった。
少年たちの母となってみて、色々とまた物想う。
何をも振り捨てて目指すもの、を見つけて欲しい、と願いつつ、懼れてきた。
「 そこそこ 」の少年たちを、中途半端だと不満に思いながら、
でも何処かで安心している自分が、苦いことに、確かに在る。
そして、才能に恵まれ、
また、少しでもそれを生かすことのできる環境に在るひとは、
どうぞ心身を健康に保ち、歯を食い縛って頑張り、努力し、
美しい花を咲かせて欲しい、と勝手に願ってしまう。
才能に恵まれないひとの 環境が許されないひとの たくさんの涙が、
頑張るひとの笑顔をきっと支えてる―――。
などと、同僚の娘さんの話から、遥か昔まで遡って惚けていたら、
職場に、一昨年ご紹介した広島高校の修学旅行 のパンフが届いた。
中高一貫のここの中学生が、毎年職場研究でうちの会社にやって来るのだが、
その時に持参してくれたものである。
朝日放送系列の『 素敵な宇宙船地球号 』で放映された旅行内容 さながらに、
ニッポンの「フツー」の高校生と
マレーシアのボルネオ島へ修学旅行へ行った高校生の1週間を、
ページごとに対比させ、考えさせられる内容にして、よくできていた。
夫が、実際に行って来たお嬢さんと話したが、
毎年希望が多いために、まず適任者かどうかの試験を受け、
マレーシアに行くまでに、何度も研修を受け、レポートを書き、テストも受け、
1年かけて、ずっと準備して行ったそうである。
一方、うちの少年たちのような「研修」旅行もあり。
*『 ヒルトン東京ベイ 』 の、超豪華・気を失いそう・バイキングでは、
美味しいケーキも山のようにあったが、すぐに売り切れ。
ケーキのお代わりができずにがっかりしていたところに、
当日がお誕生日の同級生3人に、それぞれ『 シェフの特製ケーキ 』が
ワンホールプレゼントされ、大歓声があがったそうである。
下の少年と同じクラスではなく、それも女子だったので、残念!
それに、彼の誕生日は、僅かその2日前だったのだから、地団駄を踏んだようだった。
高校、いろいろ。
修学旅行、いろいろ。
それぞれに楽しく意義深く、一生こころに煌き残る素敵な旅行でありますように。