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私:メイ首相が大勝を確信していた6月8日の英国総選挙は、コービン党首の労働党が怒濤の猛追し、与党の保守党の議席が過半数割れを起こし、大番狂わせの事態になったね。 ロンドン在住のブレイディみかこ氏は、その原因にふれている。 2019年4月からの税務年度までに、約30億ポンド(約4260億円)の教育予算が削減される方針を知り、英国の親たちは「学校を救え」という運動を全国で立ち上げて闘ってきて、総選挙での労働党の追い上げを可能にしたのは、彼らのような地べたの人びとだ。 この教育予算が争点の一つだったことはあまり知られていないと、ブレイディみかこ氏は指摘する。
A氏:終戦直後の1945年の総選挙で、アトリー政権は、医療、住宅、教育、福祉など、いわゆる「ブレッド&バター・イシュー」と呼ばれる、庶民の生活に根差した分野への大規模投資を行った。 当時は荒唐無稽と言われていた医療の大改革で、無料の国民医療制度、NHS(国民保健サービス)を設立した。
A氏:今回、労働党のコービン党首は、これにならいNES(国民教育サービス)の設立をマニフェストに盛り込み、初等、中等、高等教育だけでなく、幼児教育もこの枠に入れて、2歳児保育(週30時間までの上限付き)から大学までの無償教育を実現するという大胆な提案をした。 日本でも、高等教育の無償化やその財源をめぐる議論はあるが、この提案は先を行っている。
私:「あなたたちは、学校の一クラスの人数が増えているのを見てうれしいですか?」 これは45年の労働党の精神で、自分で考えられる市民を育てるということは教育者が十分な時間を一人一人の子供のために割くということであり、それを可能にする投資を国が行うということを意味する。
A氏:人に投資する政治は、若者たちの熱い支持を集めており、昨年のEU離脱の投票では、18歳から24歳の投票率は実は低く、「結果に不満なわりには投票しなかった」と批判されたが、今回は大学生が全国の学内投票所の前に長い列を作っていた。 NESの実現は、大学無償化を意味し、これは彼らにとって「荒唐無稽」ではなく、彼らの親たちは無料で大学に通えた世代なのだから。
私:保守党の緊縮財政で閉鎖になった成人教育カレッジの元教員たちや授業料値上げで中退した元学生たちも、労働党のマニフェストには顔を輝かせた。 2008年の金融危機以降の不景気と、緊縮財政下の7年間は終わりなきトンネルのようで、若者たちは「自分たちは損な世代なのだ」と諦め、大人たちも「もう昔とは違う」と俯き、そういう時代なんだと自分に言い聞かせてきた。 それが突然、そうじゃないんだと、昔できたことが今できないのは政治家が優先順位を変えてしまったからなんだ、と言う政治家が現れた。 コービン党首だ。
A氏:削減の政治は人々から希望を奪い、貧困と分断を押し広げたが、今こそ恐れずに未来に投資しなければ、人も国も暗い時代に沈む。 古くて新しい政治が支持を広げているのは、庶民こそ肌感覚でそれを知っているからだ。
私:欧州に古くて新しい政治の風が吹いているとブレイディみかこ氏はいう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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