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Ryu-chan6708

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2018.01.25
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カテゴリ:社会問題

小熊氏は、まず、福祉の専門家である大沢真理・宮本太郎・武川正吾が座談会内容をとりあげている。

ここでの武川正吾氏の福祉に関する5年ごとの意識調査の結果を紹介している。

 

それによると2000年には55%、2010年には7割近くが、税は高くても福祉が充実した「高福祉高負担」を支持していたが、問題は、「高福祉高負担」の支持者が、「比較的所得の高い人、負担を余(あま)り感じていない人」だったことだ。

 

支持が多いのは「高所得男性と高齢者」で、「低所得者、身体労働者、生産労働者、若年層」は支持が相対的に低かった。

 

A:普通なら「低所得層」が福祉の充実を支持し、「高所得層」が福祉の負担を嫌うものだが、調査結果は意外にも逆だね。

 

 これがこの「論壇時評」の見出しの「福祉の逆説」だね。

 

:「高福祉高負担」とは、負担は重くなるけれど、そのぶん見返りも大きくなること

 

いまの日本の福祉が所得の高い人から税や社会保険料を多めにとり、所得の低い人に重点的に給付する制度だったら、所得の低い人は「高福祉高負担」を支持するだろうが、日本の制度はそうなっていない小熊氏は指摘する。

 

Aその座談会の大沢真理氏によれば、日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度が低く、とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い

 

自営業や非正規雇用の人に多い国民健康保険や年金の一号被保険者の保険料は、「低所得者の当初所得の100%を超えてしまう状況」まであり、また所得が高い傾向がある正社員と専業主婦の世帯は、年金や税控除の面で有利。

 

:さらに、大沢氏によると、今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く、「低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」

 

非正規雇用のひとり親家庭などは、「政府が所得再分配することによって却って貧困が深まってしまう層もいる」という。

 

A:「貧しい人が福祉の充実を支持していないという状況」は、選挙にも表れる

 

政治学者の西澤由隆氏は、1993年から2010年の国政選挙のパネル調査データを解析し、階層別の政治意識を検証したが、それによると、所得が下位30%の層「福祉よりも減税」を求め、むしろ高所得層の方が「増税しても福祉充実」を望んでおり、そもそも下位30%の層は、福祉を政党選択の基準としていなかったという。

 

西澤氏は、欧米型の「低所得層は福祉充実をうたう政党を支持するはず」という、日本の経済学者・政治学者が想定する「前提」と、日本の有権者の意識は「真逆だ」という。

 

:そのうえ近年では、社会全体が余裕を失いこれまで「高福祉高負担」を支持していた高所得層まで、そこから離れ始め武川氏の調査によると、2010年には7割近くあった「高福祉高負担」への支持は、15年には00年の水準である5割台まで下がり、かわって「低福祉低負担」への支持が上昇したという。

 

A小熊氏は、もともと日本の福祉は、貧しい人の支持を得ておらず、そのうえ近年は、社会全体が余裕を失うなかで、ますます福祉への支持が失われ、格差が拡大しているのだとまとめている。

 

 そして、人々は格差と貧困を肯定しているわけではなく彼らが不信の目をむけているのは、福祉そのものではなく、本当に必要な人に恩恵がまわっていない現在の制度

 

まず「制度の歪み」を正すことが先決だろうという。

 

私:「制度の歪み」を正すには、正確な現状認識をもたらす報道が必要

 

例として、小熊氏は、小林美希氏の保育園の調査をとりあげている。

そこでは、保育士の待遇が悪いことを問題視し、東京23区内の私立認可保育所の財務諸表を調べ、「園長、事務長、用務員」の人件費率が異様に高い保育所、その保育所での活動以外に収入や補助金が転用されている保育所をリスト化した。

 

この調査報道は、23区だけで約85億円の公費が「本業」に使われていないこと、各種の歪みを是正すれば現在の補助金額でも保育士の待遇改善が可能なことを示している。

 

A:働いて税や社会保険を納めれば、それだけいいことがあるというような「働いたら報われる」という実感が持てる制度への改革が急務だ大沢氏はいう。

 

小熊氏は、それは福祉だけでなく、日本の政治や社会への信頼そのものを取り戻す道だという。

 

:それにしても、どうして、日本には欧米にないこういう「制度の歪み」が生まれたのかね。

 

その論評がほしかったね。

 






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Last updated  2018.01.25 23:36:52
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