日本人比率のカラクリ
語学留学する際に、日本人が少ない所を希望する人は多く、その気持ちもわかります。それで、学校やエージェントには、しょっちゅうそういう質問が来ます。それで、日本人比率7%、とかいう数字を聞くと、安心してその学校に申し込み、行ってみたらクラスの半分は日本人で、あれ、どうなってるの?なんて話が良くあります。学校に問い詰めると、7%というのは昨年の年間平均で、今年は少し増えた、しかも今は時期的にヨーロッパ人が少ないので、年間平均より日本人比率は高い、しかもあなたのクラスは日本人が集中するレベルである、ということで、結果的に、7%と聞いて行った学校で、50%のクラスに入って授業を受けている。こんな事が当たり前に起こるなら、日本人比率なんか事前に気にしても仕方ありません。勿論、こういう事もありますよ、という話であって、いつもこうなるわけではありませんが。そもそも、日本人比率という統計の数字自体も、結構いい加減なのです。日本人が多くて、こういう質問を良く受けている学校は、もう、実際より多少低い数字を答えるのがマニュアル化されていたりするほどです。「5割なんて言ったら来なくなるから、3割と答えよう」なんて学校はきっといくつもあるでしょう。さらに、統計の取り方も学校によって違います。ある学校は、1週間の申し込みだろうが、1年の申し込みだろうが、一人は一人として数えています。今年は全部で500人の学生が申し込んだ、日本人は20人だった、韓国人30人、スペイン人85人、ドイツ人40人、なんて感じで、申し込み期間に関係なく、今年何人の申し込みがあったか、つまり何枚の願書を受理したか、それでパーセンテージを出します。上記の例では、500人の申し込みがあって、そのうち20人が日本人だったので、日本人比率は4%です。これは随分低いと思って行ってみると、全然そんなことはありません。何故か。スペイン人は85人もいるけれど、そのうち70人は、夏の短期で、その大半が高校生のグループでした。夏以外に来るスペイン人は15人しかいませんでした。それも2~3週間の短期が多い。日本人は3ヶ月ぐらいの長期で来ている人が多く、中には半年や1年の人もいます。夏を除くと、スペイン人は平均して学校に2~3人しかいないのに、日本人は5~6人いる。他のヨーロッパ人もおしなべて在籍期間が短く、殆どが1ヶ月以内。こんな統計で日本人4%と言われても、実態と大きくかけ離れてしまうのですが、そういう風に発表している学校も実際にあるのです。日本人が多い少ないの目安にするなら、student weekで出すべきですが、全ての学校がそういう統一したデータで発表しているわけではないのです。そんな事も知らずに、学校やエージェントから聞いた数字だけを鵜呑みに、少ない方の学校を疑いなく選んで手続きしている留学生も、結構いることでしょう。