スタートレック「タロス星の幻怪人2」
先日、スタートレック初期の名作「タロス星の幻怪人2」を観た。 このエピソード前編については、以下の記事ですでに書いた。スタートレック「タロス星の幻怪人1」反逆を起こしたヴァルカン星人の副長スポック。彼の操作でエンタープライズはタロス星4番星に向かう。その間にも、スポックに対する軍法会議が進む。スポックが証拠として示した映像。それは、タロス星4番星から送られていた。映像で前艦長パイクはビーナという女性によりタロス星人に拉致される。タロス星人は進んだ科学力を誇っていた。しかし、戦争で地表には住めなくなり地下生活を強いられる。その間に空想力が発達、各星から標本を集めていた。パイクもタロス星人によって標本となるよう言われる。次々によくできた映像を見せられるパイク。しかし、パイクは標本となることを拒否する。仕方なくパイクの標本を諦めるタロス星人。しかしビーナはタロス星を離れることができない。彼女の実年齢は、タロス星人によって若く保たれているからだ。また、かつての宇宙船事故によりビーナは深い傷を負った。タロス星人は彼女を助けたものの、その姿は悲惨なものだった。(ビーナの声は池田昌子)タロス星人は繁殖力がなく、地球人の助けを必要としていた。仮想現実により、タロス星では人類の存続を計画していた。スポックは、事故で生きる屍となったパイクをタロス星に送ることが目的。この星であれば、パイクが幸せに生きられるからだ。パイク自身もタロス星に行くことを望んだ。現艦長のカークにも内緒で行動を起こしたスポック。彼こそ義理人情に生きていた。艦隊本部は規則破りのスポックに対して罪を免除。今まで艦長として活躍したパイクの功績を認めてのことだ。タロス星人はカークに言う。「パイク大佐は幸せを手に入れました。現実の世界に生きるカークに幸あらんことを」パイクがタロス星に行くことは果たして幸福なのか?それは、彼のようにひどい事故の遭わなければ判断ができまい。もしかしたら現実よりも仮想世界のほうが幸せなのかもしれない。仮にカークがタロス星人に拉致された場合。彼もまた現実の世界を選択するだろう。だが、カークがパイクのように生きる屍のようになった場合。現実の世界を選択できるかどうか。それはかなり難しい。これは未来だけの話ではない。例えば重い病気で治る見込みのない人。その人にどう対応するかは人によって考え方が違う。このエピソードはそのことを訴えているのではないか。また、ネット上でもそうだが仮想空間による危険も示唆している。仮想は人を幸せにするかもしれない。だが、人類の存続には妨げになるのかもしれない。1966年に始まったこのシリーズも、ネット世界を想像できなかっただろう。それでも仮想空間が現実に勝っている人間がいることは皮肉でしかない。まめ情報。パイク役は、健在な頃とひどい怪我をした人が違う俳優。これは、パイク役の俳優に払うギャラが無かったためといわれている。今では考えられないことだ。当時はまだスタートレック人気がさほどなかった。シリーズで、パイクではなくカークを主役にしたのは正解だった。パイク役の俳優(ジェフリー・ハンター)は若くして死亡していたからだ。過去のエンタープライズで副長は女性。(メイジェル・バレット演じる「ナンバーワン」と呼ばれていた乗組員)この女性こそシリーズ創設者、ジーンロッデンベリーの奥さん。しかもカーク船長の下では看護師のクリスチンチャペルを演じている。このエピソードはパイロット版から作られている。パイク役の映像もそれを利用しているとのこと。パイロット版「The Cage / ザ・ケイジ」については「関連記事」を参照。***********************関連記事The Cage / ザ・ケイジ The Menagerie, Part 2 / タロス星の幻怪人 後編-- Star Trek TOS --「 #026 タロス星の幻怪人 PART 02 」 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。その場合リンクは必要とはしません。意見があればメッセージでどうぞ。ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。今のところメッセージは全て読んでいます。