カテゴリ:読書
先日、本屋に行ったら海堂尊の「螺鈿迷宮」が目に入った。
人気があるというので買って読んでみた。 (この記事はネタばれあり) 海堂尊は「チーム・バチスタの栄光」で知られるようになった作家だ。 職業柄、医療関係のミステリーを発表している。 今回の舞台は終末医療と解剖について。 桜宮病院は終末医療を専門にしている病院だ。 この病院の内情を調べるべく、東城大医学部の劣等医学生、天馬大吉が潜入する。 ボランティアとしてだ。 数日前に桜宮病院の院長と面談した後、失踪した男を追って。 しかもこの病院では次々と患者が死亡する。 前の日まで元気だった患者たちが、死ぬための3階に移されたとたん。 「チーム・バチスタ」でも登場する厚生労働省の白鳥圭輔も登場する。 今回は、彼の助手も引き連れて。 (東城大病院「不定愁訴外来」の田口も少しだけ登場する) 死亡した場合、日本では2%しか解剖されないという。 大学病院など、先端医療を売りにしている病院ほど、この率は下がる。 だとすれば、遺体に明らかな不審な点がない場合。 死因すら明らかにされない。 加えて、医師がその気になれば死因などどうにでもなる。 解剖は密室で行われ、医師を監督する目が不足しているからだ。 作者の主張はこうだ。 作中でも出てくるオートプシー・イメージング(死亡時画像診断)の実施。 医師は人の命を助けるために努力する。 そのための健康保険も「生きている人のため」の存在している。 死んだ人のために予算を割くことはしない。 となれば、解剖の実施を推進するのは国しかない。 解剖が増えれば、その資料は人を助けるためにも役立つ。 正直に言うと、この作品はミステリーとして稚拙な部分がある。 謎が次々に明らかになっていく様子は、主人公天馬大吉のためにある舞台。 いくら彼には謎の裏側を知る権利があるとはいえ、話が容易に流れすぎる。 それでも現役の医師が医療現場の裏側を教えてくれるのは貴重だ。 追記 作者は「ミステリー作家」だけではなく、以下のようなブルーバックスなども出している。 今後も医療現場からの発言を楽しみにしている。 バナーにクリック願います。 楽天フォトの容量を増やしてください。 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。 その場合リンクは必要とはしません。 意見があればメッセージでどうぞ。 ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。 今のところメッセージは全て読んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.01.04 19:33:01
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