カテゴリ:読書
海堂尊「ジェネラル・ルージュの凱旋」を読んだ。
(この記事は一部ネタばれあり) この作品は、東城大学付属病院が舞台。「チーム・バチスタの栄光」の続編。 「ナイチンゲールの沈黙」と同じ日に始まるもうひとつのストーリー。 同じ病院内で起きていることを、別の角度から見る形になる。 「不定愁訴外来」の田口や白鳥も登場するが、今回の舞台は救命救急。 「ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)」と呼ばれる速水晃一。 救命救急センター部長で身勝手な人物。赤字の同センターを仕切る将軍だ。 12月の中旬、田口に内部告発文が届く。 速水が業者と癒着しているという内容だ。 高階病院長と相談の上、田口は調査に乗り出す。 患者のたらい回しが社会問題となっている今。 こうした救命救急の現場を少しでも理解することは重要だ。 作品で描かれる、スピード感ある治療の様子はドラマ「ER」のよう。 一見華々しい救命救急。 しかし内情は大赤字。小児科とともに病院の経営を圧迫している。 そんな中、速水にはドクターヘリの導入という悲願があった。 「白い巨塔」ではないが、大学病院内は魔物が跋扈している。 倫理問題審査委員会(エシックス・コミティ)もそのひとつ。 才能が人の足を引っ張るために使われている。 そんな中、医療スタッフの犠牲があって現在の医療水準が保たれている。 それと同時に勤務医として著者、海堂尊の主張もある。 日本における死亡時医学検索の不備。 解剖率の低さとAi(オートプシー・イメージング)の実用化。 「死者に予算を割かない」日本の医療には問題山積している。 「ナイチンゲールの沈黙」にも出ていた猫田看護師長。 今回はしっかり起きて自分から動く活躍ぶり! (それって看護師としては当たり前?) ハヤブサこと花房師長と千里眼を持つ「眠り猫」猫田。 二人の総看護師長対決もこの作品で決着する。 ICUで研修していた姫宮。 「ミス・ドミノ」として失敗ばかりの彼女。 だが、トリアージで才能を発揮。この後桜宮病院へ向かう。 その話については「螺鈿迷宮」で描かれる。 疑問点がいくつか。 水落冴子が入院する場面。 「ナイチンゲールの沈黙」と違う会話がある。 佐藤と如月翔子がグラスゴースケール(GCS)について話す場面。 GCSは患者の状態を点数で示す。 佐藤は如月にGCSとジャパン・コーマ・スケール(JCS)について指摘。 この点が両作品で違う。 二つの世界はパラレルワールドなんだろうか? もうひとつはアメリカ帰りの事務長について。 物語の後半、大事故の報道を目にした事務長。 テレビ画面に映ったのが彼の妻であると速水に話す。 その女性は頭に傷を負っていた。 そのご、彼女はどうなったのか? 私が読み飛ばしたのかもしれないが、気になる部分ではある。 次に読むのは「イノセント・ゲリラの祝祭」になるか。 それとも「ジーン・ワルツ」?「死因不明社会」かもしれない。 「イノセント・ゲリラの祝祭」は医療現場ではなく会議が中心と聞く。 それなら、ブルーバックスの「死因不明社会」を優先すべきかも。 なお、「ジェネラル・ルージュの凱旋」は映画化が決まっている。 出演は竹内結子(バチスタ同様、田口を女性に置き換えている)、阿部寛(白鳥)。 速水は堺雅人。花房は羽田美智子。藤原看護師は野際陽子だそうだ。 今年3月公開予定。 *********************** 関連記事 「ジェネラル・ルージュの凱旋」 の速水部長は、一人浮きすぎてません? バナーにクリック願います。 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。 その場合リンクは必要とはしません。 意見があればメッセージでどうぞ。 ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。 今のところメッセージは全て読んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.01.27 19:50:30
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