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りゅうちゃんミストラル

2009.11.24
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カテゴリ:読書
大崎善生「将棋の子」を読んだ。

     

この本は将棋の世界を描いたノンフィクション。
しかもトッププロではないところが新鮮。

プロの将棋は四段になって初めて一人前。
それまでは奨励会という修行の場で戦わなければならない。
プロ棋士養成所、それが奨励会。

奨励会には初段と四段で年齢制限がある。
現在は23歳の誕生日までに初段。
26歳までに4段となること。
(3段リーグを勝ち越せば延長される救済措置もある)
この制限を越えると、将棋界から追い出される。

奨励会には、日本全国から強豪が集まる。
だがその多くが奨励会でレベルの高さに驚く。
今まで常勝だったのに、まったく歯が立たない。
奨励会はそれが当たり前の世界。

羽生のように全タイトル7冠に輝く者もいる。
その反面、プロになれなかった者もいる。
高校にも行かず、勝負に明け暮れていた若者。
水曜日の次の日を言えない者すらいる。
社会常識以前に、勝負がある。そんな生活だった。

だが退会後は違う人生を見つけていかねばならない。
厳しい勝負の世界だ。

著者の大崎善生は、将棋連盟の職員だった。
彼は、将棋界から姿を消した成田英二に会うため北海道へ。
奨励会に在籍したその若者。
著者の大崎にとって弟のような存在だった。
だが将棋連盟には連絡先が将棋クラブ気付となっていた。

気になった大崎は北に向かう。
そして成田に出会う。

プロの世界はどこでも厳しい。
奨励会にいた若者たちがその後どうしているか。
この作品は成田を中心に描いている。

成田の生活は厳しかった。
奨励会にいる間、父と母を病気で失う成田。
その後、パチンコ屋で働くが、そこも出ることになる。
その間、年上の女性と不倫も経験する。
借金から逃げるためタコ部屋に。
毎朝早く起きて新聞を回収する仕事で糊口をしのぐ。

母親と成田の関係は読んでいて涙が出た。
癌の宣告を受けた母親と温泉旅行に行く成田。
北海道で別れる大崎に手を振り続ける成田。
純朴さがよくわかる場面だ。
私も自分のことを「こっち」と呼んでしまいそう。

奨励会退会後、何気ない師匠の言葉にブラジルへ渡った者。
その男は世界を放浪する。
そして第一回世界将棋選手権でチャンピオンとなる。

またある者は、司法書士の資格を取り現在に至る。
俳優に弟子入りした後、将棋記者になった者もいた。

この作品では語られなかった。
だが退会後、失意のうちに自殺したものもいるという噂もある。

その反面、奨励会を退会したものの、編入試験でプロになった者もいる。
それが瀬川晶司。
彼についてはこの記事で書いた。

瀬川晶司さん晴れて将棋プロ棋士に。

瀬川氏は、年齢制限で奨励会を退会。
一度はサラリーマンとなった。
しかし銀河戦でプロ相手に6連勝した。

このことからプロ編入の嘆願書を将棋連盟に出した。
将棋連盟は全棋士投票を行い、多数決で編入試験実施を決めた。
6人の棋士相手に3勝すればプロとして認められる。
瀬川氏はこの試験を通って晴れてプロ棋士になった。

退会した者でも能力の高い者はいる。
その点は大崎氏も本作品で書いている通りだ。

この作品で最初のほうに出てくる中座真。
彼もまた、年齢宣言の壁で退会寸前だった。

彼の発案した「中座飛車」(横歩取り8五飛戦法)。
もし中座がプロ棋士になっていなければ。
この戦法は埋もれてしまったかもしれない。
それは、将棋界にとって大きな損失だった。

物事には背景がある。
その怖さをこの作品はノンフィクションとして世に伝えた。
功績は大と評価するべきだろう。

大崎は「聖の青春」という本も出している。
羽生のライバルだった村山聖。
彼の命をかけた戦いについて描く、評判となった作品だ。
その作品については別の記事で書く。

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将棋の子:大崎善生

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最終更新日  2009.11.25 17:50:33
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