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カテゴリ:読書
梨木香歩の「裏庭」をやっと読み終えた。
実に8日間かかった。
私はこうした作品が苦手。 だがこの本に限っては「最後まで読む」ことができた。 1日20ページしか読めないこともあった。 主人公は13歳の照美という女の子。 双子の弟がいたが、6年前肺炎で亡くしている。 照美の両親はレストランを経営していて忙しい。 弟を亡くしたことも親子の間には冷たい空気となっている。 照美が幼い頃遊び場にしていたバーンズ屋敷。 そこには英国人一家が住んでいて、裏庭があった。 大鏡を通して裏庭に入った照美。 そこで「テルミィ」の冒険が始まる。 作者は呼び名にこだわっている。 照美の父親はパパだけど徹夫。 その徹夫である自分を日常では忘れている。 母親のさっちゃんもそうだ。 自分の母親(つまり照美の祖母)から愛されていないと感じていた。 娘に対しても放任というか冷たい一面を見せる。 名前によって「自分が自分であること」という考え。 まるでスタジオジブリのアニメ「千と千尋の神隠し」みたいだ。 自分は何もしないでも自分のまま。 だがあることをして「自分を取り戻す」「自分が自分になる」ということ。 現実の世界と裏庭の中の世界。 その二つが最後にはつながる。 二つの世界が交互になっていれば村上春樹の世界だ。 春樹は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を書いた。 梨木と春樹が似ているのは世界に入るということ。 作家が独特の空間を作り、読み手はそこに入る。 いかに空間を作るかが作家の力量となる。 英国人一家も姉妹の一人が帰国後に亡くなっている。 照美一家と同じく欠損家族。 欠損家族といえば宮部みゆき。 彼女は失われた人が作品にどんな影響を与えるか。 それをよく知っている。 人はどこかで欠けたものを取り戻すように行動する。 死んだ人は生き返らない。 だが、「もう失わないようにする」ことはできる。 作者の梨木香歩もそれを願ったのではないか。 この作品を読んでいて私はそう考えた。 私がこの作家の作品を読むのは2作目。 最初の作品は「西の魔女が死んだ」だった。 「西の魔女が死んだ」に学ぶ 「裏庭」と「西の魔女が死んだ」。 この両作品を読むと、作者の描きたかった世界が少しは理解できたかと思う。 私は基本的に再読をしない。 その時間があれば、読んだことのない作品を読みたいから。 だがこの作品は再読が必要なのかもしれない。 環境や年代によってこの作品に対する感じ方はまったく違う。 小学生でも読めるから、広いストライクゾーンがあるのだろう。 *********************** 関連記事 「裏庭」梨木香歩 「裏庭」梨木香歩 ↑この作者の作品を読むと「夏の庭」を連想する。 それは私だけではなかったらしい。 「裏庭」梨木香歩 裏庭 -- 梨木香歩 -- 『裏庭』梨木香歩 「裏庭」 裏庭 裏庭 梨木香歩 裏庭 / 梨木香歩 *********************** ※トラックバックは管理人が承認した後に表示されます。 バナーにクリック願います。 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。 その場合リンクは必要とはしません。 意見があればメッセージでどうぞ。 ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。 今のところメッセージは全て読んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.07.02 20:44:38
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