2010/10/08(金)12:30
「マドンナ・ヴェルデ」その2
前に書いた記事が字数制限のため、ここで続ける。
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理恵は帝華大学で発生学を学生たちに教えている。
そのくだりは「ジーンワルツ」に出てくる。
私はそれまで理恵を評価していた。
青い学生たちが何故理恵に発生学の特別講義を求めたか。
それは、発生学という科目が以下に重要か。
それだけではなく理恵に対しての尊敬があったからに他ならない。
その理恵は裏で勝手に代理母計画を進める。
しかも自分の母親を使って。
もし発生学教室の学生たちが、みどりに対する理恵を知ったら。
青い学生たちは反発するのではないか。
物事は一面からでは分からないことがある。
それを著者の海堂は語りかけている。私はそう評価した。
ところで基本的なことを問いたい。
説明にない精子をを使った受精卵を体に入れられたみどり。
これはだまし討ちの暴行に等しい行為ではないか。
事情は違うが、かつてこんなことがあった。
受精卵取り違えで妊娠、中絶
「以前は精子をミックスしていた」という理恵の乱暴な説明。
ならば「子どもがほしいなら、別の受精卵でもいいじゃん」と説明しそうだ。
子どもは親の所有物なのか?
医者のオモチャなのか?
理恵にしろ、みどりにしろ著者の海堂はよく女性を描く気になった。
医学には詳しい海堂でも、女性の心理描写は素人のはず。
ところで閉経後のみどりはホルモン剤の使用により生理が復活する。
肌の張りについて記述があった。
若返りにホルモンを使うことはよくあるのだろうか。
もしあるのなら、それは医学としてかなり問題があるのではないか。
どうでもいいと思いながらも気になった。
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関連記事
『マドンナ・ヴェルデ』 海堂尊
↑「信念の人がどれだけ傍迷惑で、非常識か」という部分、大いに賛同する。
「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊
↑以下の記述に同意する。
>昔は人工授精に何人かのカクテルが使われたから今やっても問題ないというのは、乱暴すぎるんじゃないかと思います。説明もなくそんなことをしていいのでしょうか。
問題はその「説明」にあると私は考える。
産科の医師は目の前の妊婦に対して説明することが求められる。
もし田口がこの件を知ったら内緒にしていたことをどう評価するだろうか。
以前、アメリカでは代理母が子どもを引き取る件が裁判になった。
事前に文章で契約、了解していても裁判となる。
しかも本書のように説明どころか偽のカルテまで作ってしまうあたり。
悪意ありありのケースならトラブルが起こらないわけがない。
「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊
私が注目したのは以下の部分。
>さらに驚いたのは、不妊治療していてラストチャンスだという女性にも自分と清川の受精卵を入れるのです。ありえないって!
私もありえない話だと思う。
怖いのは医師がその気になれば、「ありえないこと」が実際にできること。
だからこそ医師は患者に対して説明することが重要となる。
以下、コメントはしないが本作品について書かれたブログ記事を紹介する。
マドンナ・ヴェルデ 海堂尊
マドンナ・ヴェルデ(海堂尊)
「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊
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