~微風に舞う花びらのように~

2005/04/11(月)13:19

「さくら」

戯言(117)

行く場所をうしなった ひらりとおちる 桜のように 恵の水は みずからを育てた母であって そして誇らしく咲いたものを 空から叩き落すようにして 寂しくはないの? 風とともに 広い世界を夢見たあなたが 雨とともに 汚れた土の上に哀しく落ちるなんて 行き場所をうしなった 美しく舞えるはずの あなたなのに 無残にも みにくく落ちていくなんて 寂しくはない 風という友と舞いながら落ちたかった けれど雨という母も大好きなのだと 優しい あなたはほほえんだ 土はわたしの故郷 風はわたしの友 空はわたしの母であり すべて大切なものなのだ だから 友と踊れなくとも 母に抱かれ 故郷に帰れるのならば とても幸せなのだと 行き場所を求めた旅人 どこに行くこともできず わたしをみつめ 泣いたひと 言の葉を並べたきり  旅人は微笑み わたしから去っていった 元いた場所へ 還っていった *********

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