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2007/06/26(火)02:04

アメリカ金利上昇とそれによる今後の影響

時事(40)

 世界的金余りと、リスク・プレミアムの低下によって、借金をしてまでも株を買う人が増えてそれにより、株価は上昇、消費の活性化もされた。今後しばらく米経済は大丈夫だと考えている人が多い。しかし、6月7日、人々の楽観を吹き飛ばす状況が発生した。10年もの米国債の金利が5・05%にまで上昇し、それまで20年間続いてきた金利の低下傾向に終止符が打たれ、上昇傾向に転じたという懸念が一気に広がった。  今まで、米国債の金利は、一時的に上昇しても、そのピークは以前の上昇時のピークより低い状況が続いてきた。しかし、今年3月から6月にかけての上昇は、以前のピークより高い水準まで金利を上げている。そのため、その後、米国債金利は再び下がったものの、専門家の間では「金利の下落傾向は終わったのではないか」 という懸念が残っている。  現在のアメリカ経済と市場は、金余りとプレミアムの低下による低金利を前提に回っており、金利が上がると、経済のいろいろな部分が破綻してしまう。住宅ローン金利の上昇は、すでにバブル崩壊の様相を深めている米住宅市場を、さらに崩壊させる。借金漬けの米国民が多いので、人々の消費意欲も減退する。低金利での資金調達を前提に買収事業を回している買収ファンドは行き詰まる。企業業績が全般的に悪化し、株が下落する。  借金や社債発行による企業買収(レバレッジド・バイアウト)は、買収した企業が出す事業収益が、借金や社債の支払い金利を上回っていないと破綻する。S&P社の計算によると、3年前には、アメリカの買収事業の平均値は、収益が利払いの3・4倍あったが、昨年はそれが2・4倍に、今年は1・7倍まで低下し、最近では1・3倍というケースもある。買収事業が流行した結果、儲かるケースが少なくなっており、金利が少し上がっただけで事業が破綻しかねない事態になっている。 この現象を報じたワシントンポストの記事は、最近の金利上昇傾向は、企業買収ブームを終わらせ、株価の下落がアメリカから世界に拡大する事態を生みかねないと警告している。 http://www.washingtonpost.com/wpdyn/content/article/2007/06/12/AR2xxx-xxx-xxxxx_pf.html

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