投資の余白に。。。

July 5, 2005
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カテゴリ:クラシック音楽
10年に一度出会うことがあるかどうか。

夕べのコンサートは、そう思うくらいすばらしいものだった。

カール・ホグセットという指揮者が率いるノルウェーの合唱団、グレックス・ボカーリスの初来日公演。日本とノルウェーの国交100周年、ノルウェーの独立100年を記念しての全国公演の初日。

前半は栗山文昭の指揮で日本の合唱曲。武満徹、林光、三善晃、間宮芳生など。札幌のアマチュア合唱団、弥生奏幻舎Rの賛助出演をはさんで後半がノルウェーとノルウェーゆかりの作曲家の作品。

林光の「水ヲ下サイ」は、古今東西の名曲の中でも、最も密度の濃い作品だと思う。ムダな音がひとつもなく、欠けている音もない。これほど密度の濃い音楽というと、バッハのシャコンヌ、バルトークの弦楽四重奏曲のほかに何があるだろうか。

複数あるCDや作曲者の指揮による演奏よりゆっくりしたテンポ。栗山の指揮は作品の奥深くに隠された「静かな激情」を見えない放射線の光のように放っていく。名前だけは知っていたがすごい指揮者がいるものだと感嘆させられた。音楽的な美しさと表現を見事に両立させた演奏に圧倒的な感銘を受けた。

それでも栗山が指揮すると、このコーラスもわずかに日本的に線の細い響きになるのはおもしろい。

創設者のホグセットが指揮すると、響きはやや骨太になり豊かになる。と言っても、透明さや純度はまったく損なわれることがない。

ノルウェーの合唱曲はどれもどこか気高い精神性、北の国の人のまっすぐな純情が感じられる音楽。

ラウリッセンの「おお、大いなる神秘」の崇高さはちょっと比類がない。「この世にまだこんなすばらしい音楽があったのか」と圧倒された。

400席ほどの小ホールに集まったのはほぼ合唱関係者。音楽ファンとおぼしき人は皆無に近い。

音楽ファンが決して行かないようなコンサートの中にこそ、「10年に1度の感動」が得られるものがあるのだ。これは投資家にまったく人気のない株にすばらしい株があるのとよく似た現象だと思う。

賛助出演の「弥生奏幻舎R」の見事な演奏にも驚いた。日本のアマチュア合唱団は十把一絡げにしてバカにしていたが、こういうすばらしい団体が出てくるならその偏見を改めなければならない。

ホールを出てくる人たちがみな幸せそうな顔をしていた。

よいコンサートは少なくないが、こんな風景を見られることはめったにない。

よい音楽は人を幸せにする。いつか、すべての人間の心から邪悪さが取り除かれる日が来るとしたら、それは「グレックス・ヴォカーリス」のような音楽によってだ。






最終更新日  July 6, 2005 05:23:56 PM
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