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カテゴリ:身辺雑記
二次会には少し遅れた。そうしたら、ほかのグループとは隔絶した、10人くらい入る個室に通された。
どこと言ってとりえのない、平凡な奥さん風の人の隣に座った。貧乏クジをひいたと思ったがしかたがない。 初めて会う人だと思っていろいろ話した。その結果わかったのは、彼女は高校2年のとき、隣の席に座っていた娘だということだった(笑) 1年間、たぶん1000時間は隣り合って、筆記用具の貸し借りくらいはしたと思うのに、彼女はまったくぼくのことを覚えていない。なんだよ、あんまりじゃないかと散々からむことになった。 高校時代の彼女は絶世の美少女だった。運送会社の社長の娘で、他のクラスメートとはちがってどことなく品があった。スタイルもよく、よく笑う明るい娘だったのでアイドル的存在だった。ぼくも憧れていて、修学旅行ではわざと彼女が参加する見学コースを選んだほどだった。 京都滞在の3日間、8人ほどの集団だったが、いつも彼女と一緒にいられて幸せだった。彼女は同じクラスの、背が高い以外に何のとりえもない男と付き合っていたが、あいつになら楽勝で勝てると思って傍観していた。 たぶん、彼女はあの時期その男に恋をしていたので、ぼくのことなどまったく眼中になかったのだろう。 しかしそれにしても彼女と恋に落ちなくてよかった。結婚でもしていたら大変なことになっていた。美少女オーラの消えたただのおばさんと何十年も一緒に暮らすくらいなら、自分のひざでも抱えていた方がましだ。 そこで、その場はそこそこにして、一次会の出口で声をかけてくれた彼女の横に移った。 10代のころはごく平凡で目立たなかった彼女は、美人ではないが、ほどほどの知性と優しさが調和した魅力的な女性に変身していた。離婚して子どもを育てているらしいが、生活疲れをまったく感じさせない。こんなに気立てのよい、明るく素直で健全な感性の女性は今どき珍しい、と思ったが、そんな人が中学からの知り合いにいるとはよけいに驚きだった。 だから彼女との会話は弾んだ。何をきいても、きれいな言葉、きれいな発音で人柄のよさがにじみ出たコメントをしてくれる。結婚相手として考えた場合、彼女以上の女性はまずいないだろうと思えた。そんな人が、中一の時にすぐ近くにいたという事実に驚くと同時に、そういう彼女の価値に気がつかなかった自分がとてつもなく愚かに思えた。 酔っていたから、3回くらい「結婚しよう」と言ったかもしれない。 でも、酔いがさめてあらためて考えてみると、はるか昔からの幼なじみという感じがして、ドキドキしないのだ。従姉妹のような感じといえばいいのか。男女の関係になるなんて考えられないし、彼女だって同じように感じているにちがいない。 まったく、人間の感情とは厄介で複雑なものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 19, 2008 12:50:20 AM
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