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カテゴリ:クラシック音楽
こんなに楽しいコンサートに出会うのは、長い人生でもそうあることではない。もしかすると、これが最初で最後ではないだろうか。
そういう予感は、終わるころには確信に変わった。 ある大学の音楽学科が他の分校との統合により廃止されることになった。今年、ちょうど50期生にあたる最後の学年が卒業するので、その学科の同窓会的なコンサートが開かれることになった。30名ちょっとの卒業生に加え、同窓生や教官が加わって開かれたのがこのコンサート。 合唱、器楽アンサンブル、オペラの重唱、そしてオーケストラ曲。編成もプログラムも変化に富み、それだけでも飽きない。そしてその選曲がまた洒落ている。 たとえばゲネー&ツェルの「イタリアン・サラダ」という合唱曲。歌詞はすべて音楽用語でオペラのスタイルをパロディーにしたナンセンス・ソングだが、こんなに面白い曲がまだあったのかと驚いた。 休憩前の最後の曲、ガーシュインのオペラ「ボーギーとベス」のメドレーは、バイオリン4台と2台のピアノ用のアレンジで演奏されたが、大学4年生とは思えないジャジーでエンタテイメントな感覚のパフォーマンスは時間を忘れる楽しさ。 後半はモーツァルト「フィガロの結婚」から3曲を、やはり現役の学生が中心に。どの歌唱もレベルが高く、堂々としたステージマナーが印象的だった。 最後はこうした祝祭にふさわしいアルヴェンの「スウェーデン狂詩曲第一番」。リタイアした札響楽員やプロ奏者も交えた混成のオーケストラは、随所に繰り広げられる華やかなソロ・パッセージも見事で、過去に聴いたオーケストラではコスタリカ国立交響楽団よりも高いレベルの演奏だったと思う。 アーノルドの金管5重奏曲第一番第一楽章、R・シュトラウスの13管楽器のためのセレナードも、前者は明るい音色ののびのびとした演奏、後者は響きの広がりを大切にした上品な演奏で牧歌的な雰囲気がよく出ていた。 このコンサートがこれだけのものになったのは、ほとんどのステージに指揮者として登場したN教授の力が大きいと思う。 N教授は、一般の音楽ファンにはまったく知られていないが、地元で音楽に関わっている人で知らない人はいない。東京都響を指揮したことなどもあるが、合唱やオペラの指揮を得意とし、リートや歌曲のピアノ伴奏にも手腕を発揮する。 大向こうのうけを狙うようなところはまったくなく、誠実かつていねいで、特に近年は繊細でニュアンス豊かな音楽作りをするようになってきた。 スター性がないだけで、スター音楽家よりも実力のある音楽家というのは決して少なくないものだが、N教授もそんなひとりだと思う。 音楽ファンが見向きもせず、マスメディアが絶対に注目しないようなものの中に、生涯の宝になるようなコンサートがあるが、今度もそうだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 18, 2009 02:26:35 PM
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