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カテゴリ:クラシック音楽
PMFオーケストラは、会期中に3つのプログラムによるコンサートを行う。今年は、かつて芸術監督だったエッシェンバッハとティルソン・トーマスがそれぞれマーラーの交響曲第2番と交響曲第5番を指揮した。
もうひとつのプログラムを任されたのが、中国の若手女性指揮者シャン・ザン。全く未知の指揮者で、経歴等も不明だが、大指揮者の素質十分。若いころの小澤征爾を思わせる指揮ぶりで、若々しく昇り調子の音楽家を聴く喜びに浸ることのできた一夜だった。 前半はアンドレ・ワッツを迎えてベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。ワッツを聴くのは2回目だが、この人がステージに出てくるととたんに雰囲気がゴージャスになる。トーマスにもそういうところがあるが、華がある、というよりアメリカという国の底力を感じさせるような威厳を感じさせる。 演奏の印象も同じで、いかめしさのまったくない、さりとて流れすぎることもない堂々としたベートーヴェンが繰り広げられていく。今回はワッツのソロ・リサイタルは行かなかったが、やはり行っておけばよかったかな、と思いながら聴いた。 オーケストラは少し堅さが感じられた。交通整理はよく行き届いていたものの、協奏曲の演奏には不慣れなためか、安全さに気をとられて小さくまとまってしまうところが、特に木管のソロ・パートなどに散見された。とはいえ、ワッツの巨匠性豊かなピアノに位負けしていなかったのはさすが。 後半はラヴェルのラ・ヴァルスとストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」。 「ラ・ヴァルス」は、2008年12月札響定期での高関健指揮による超名演が記憶に新しい。熱せられた鉄塊がある温度に達すると黄金色に輝くが、この曲をレナード・バーンスタインに直接教わったという高関の演奏はまさにそのような輝きを発していた。 シャン・ザンの演奏はそれに比べるとクールで意外に淡白。中国の演奏家は独特の粘りのある大陸的な演奏をすることが多いが、東洋的にあっさりしていた。 世阿弥は最高の芸術家は10歳までで、次が10代、その次が老年、いちばんダメなのが20代と喝破している。 その伝で行くと、クラシックの指揮者は20代が10歳までで、30代が10代に相当すると思う。「火の鳥」を指揮するシャン・ザンからは、若々しい昇り調子の音楽家からしか聴けないしなやかさとみずみずしい歌心、清新な音楽を聴くことができ感動的なストラヴィンスキーだった。 先日、FMで韓国のインチョン市立合唱団の演奏を聴いたが、すばらしいものだった。いくつかの例外を除いて、クラシック音楽の演奏は日本人がいちばんいいと思ってきたが、近い将来、クラシックを聴くならアジアの演奏家に限るという時代が来ると思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 2, 2009 09:44:50 AM
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