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カテゴリ:映画
この世でいちばん難しい作文がエッセイや音楽評論とすれば、いちばん簡単なのが旅行記や映画評論だろう。
あらすじを数行、それに印象的な部分のコメントを数行という具合で200字から2000字くらいの映画評論ならすぐ書ける。簡単な紹介文なら資料だけで、あたかも見てきたように書くことができるほどだ。 しかしこの「重力ピエロ」について書くのは難しい。ちょっとでもあらすじを書くとネタバレになってしまい、観賞のさまたげになる。 伊坂孝太郎のベストセラー小説の映画化であること、監督の森淳一が安定した手腕でミステリーに分類されるこの小説の映画化に成功していること、とりわけキャスティングが卓抜であることを書くと、もう書くべきこと、というか書いていいことがなくなってしまう。 兄弟と家族の物語である。しかし日本的なお涙頂戴のセンチメンタリズムはここにはない。兄の兄らしい優しさ、弟のやや型破りな奔放さは「兄弟の物語」としてはステレオタイプかもしれない。 しかし、圧倒的な物語の展開がわれわれの常識的道徳に縛られた感性を根底から揺り動かす。偶然と必然のおりなす綾でできているわれわれの人生は、この映画のクライマックスのような必然を獲得すべきだという強い確信を得る。 特に男の兄弟を家族に持つ人たちに、この映画が語るものは多いはずだ。 抑制されたシンメトリカルな構成、低予算で作られたことが明らかながら、それが決して安っぽく感じられないのは、たぶん、この映画つくりに関わった人たちが、この作品とそのメッセージに深い共感を抱いたためだろう。 以上は蛇足である。ただちに映画館に駆けつけ、この映画を見ること。それだけでこの映画について語るべきことは尽きている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
October 11, 2009 01:37:57 PM
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