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カテゴリ:クラシック音楽
2曲目、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲におけるジョセフ・リン(台湾系アメリカ人)のソロが素晴らしかった。
たしかこのバイオリニストを聴くのは2度目だと思うが、切れ味のよさはますます冴えわたり、独特のクールで粘らない歌はスピード感を増した気がする。以前聴いたときはまだ20代で「若さ」の良さと危うさを感じたが、30代にさしかかったいま、シャープさに加えて音楽を大らかに歌い上げていく円熟味が加わった気がする。 たとえて言えば、フルーティな辛口の白ワインが蛇口から清冽に流れ出しているような演奏で、ただ聞きながすのがもったいないとさえ思った。 「またメンコンか。やれやれ。昼寝でもしていよう」という気持ちで出かけたが、予想に反してこの日いちばんの聞きものだったというか聞きものになってしまった。 1曲目(ハチャトゥリャンの仮面舞踏会より3曲)は指揮者を見るためにRA席で聴いた。そのためサウンドはわからなかったが、細かく拍を刻みアンサンブルの確保に汲々とする日本人指揮者とは違い、長いフレージングで雰囲気たっぷりの指揮をする面白い指揮者だと思ってメーン曲(チャイコフスキーの交響曲第5番)に期待した。 しかし、長所はいろいろとあるものの、指揮者とオーケストラの両方が期待はずれ。値段の高い分、これなら日本のオーケストラを聴いた方がマシだと思った。 長所は、特に中音域から低音域にかけての弦楽器のまろやかで重厚な響き。元気で馬力のあるモスクワ派、優美で柔らかいサンクトペテルスブルク派との間で位置づけすると、かなりサンクト派より。ただしバイオリンの音が固いので、キーロフのオーケストラのような豊潤さはのぞめない。 ホルン首席は名手のよう。しかし、他の管楽器セクションには際立った名手はいない。 アメリカのビッグ5のようにメンバー全員がソリスト級というオーケストラもあるが、オーケストラは各セクションのトップクラスが名手であれば抜群によくなる。その核となる15人から20人を集めるのが大事なのだ。 しかしこのオーケストラには名手だけでなく、トップとしての気概を持つ奏者を欠く。だから、名手のいるホルンセクションでも、バランスが悪くハーモニーが濁る。 特に管楽器セクションに顕著なのだが、要するに他の奏者の音を聴いていないのだ。聴いていないから音量のバランスは悪く、音程も悪くなってハーモニーが濁る。 「拡大された室内楽」としてのオーケストラではなく、「ただ楽譜を見て演奏しているだけの抜群にうまいアマチュアオーケストラ」を聴いている感じがしてきて白けたし、こんな質の悪い音楽に熱狂する観衆にはさらに鼻白む思いだった。 ロシアのオーケストラだろう、チャイコフスキーくらいちゃんとやれるようになりたまえ、少なくとも日本のオーケストラ程度には、と言ってあげたい。 アンコールはくるみ割り人形から「こんぺい糖の踊り」と「花のワルツ」だったが、「花のワルツ」冒頭のハープの見事さに驚いた。こんな名手は初めてだと思う。 さほどやる気があると思えない高音弦セクション、ホルンやハープに点在する世界的名手、しかし全体としては高度なアマチュアにすぎない演奏・・・あと10年はこのオーケストラを聴く必要はなさそうだ。 オペラグラスを忘れたのでウクライナ美人を発見できなかったのが心残り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
October 26, 2009 01:52:55 PM
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