投資の余白に。。。

December 20, 2009
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このCD(アルファエンタープライズHCD279)の第3トラックからは、音楽らしきものは何も聞こえてこない。再生装置の故障かと錯覚してしまいそうだ。たぶん、ラジカセだとボリュームを最高レベルにしても何も聞こえないだろう。

しかし、良質の再生装置で再生しよく耳を澄ませると、鳥や虫の声、鐘の音、交通音などが聞こえてくる。都会にほど近い郊外で、周囲の音を録音したもののようだ。

これはジョン・ケージの作品「4分33秒」である。

この曲をコンサートで上演する場合、演奏者はまったく音を出さない。4分33秒間、黙って楽譜を読み、時間が来ると退場する。

その間、聴衆が聴くのは「環境の音」である。後年、ケージはこの曲の別バージョンを作ったが、この曲では会場のあちこちにおかれたマイクの拾う音が増幅されてスピーカーから流れるようになっている。つまり、ケージはこれらの作品で、環境の音もまた音楽であるということを主張しようとしたのだった。

街の風景が醜悪なら、どんなに素晴らしい美術館があっても芸術的に豊かな街とは言えないように、環境の音が醜悪なら、どんなに素晴らしい音楽が行われていても、音楽的に貧しい街でしかない。

環境の音もまた音楽であるという主張、東洋人にはなじみ深いケージの考えを具体化したこの作品は、地球規模で音を考え、音の風景を美しく豊かなものにしていこうという野心を隠した壮大なスケールの「音楽」であるといえる。

この曲では居合わせた人のすべてが聴衆であると同時に演奏者になる。

芸術をつくる主体が、才能に恵まれた少数から一般の人々へ移る可能性、作り手と受け手の境界が取り払われる可能性など、未来の芸術とそのあり方を示唆した作品でもある。






最終更新日  December 24, 2009 01:09:24 PM
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