投資の余白に。。。

December 24, 2009
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平和のために音楽を役立てようとする人はたくさんいたし、今もいる。しかし、音楽をやめることで平和に貢献したのはパウ・カザルスただひとりだ。

世界的な指揮者・チェリストとして活躍していたカタロニア出身のカザルスは、ナチスの支援でスペインに生まれた独裁政権に抗議し、その政府を容認する国々での演奏を「良心がゆるさない」と言って拒否してしまう。

この「引退」によって独裁政権の正体は暴露され、アナーキスト勢力が強大だったため無惨なまでに圧殺されたカタロニアの自由は国際的な関心を呼んだ。そして、音楽祭や国連、ホワイトハウスなど限られた機会と場所でだけ行われるようになったカザルスの演奏は、「絶対平和主義」の信念と不可分のものとして音楽を超えた感銘を人々に与え、良心を呼び覚ましていったのである。

中でも国連総会でのカタロニア民謡「鳥の歌」の演奏、「わたしの故郷カタロニアでは、鳥はピース、ピースと鳴く」というスピーチと共に行われたそれは、全世界を衝撃させる大きな事件となったし、これ以来、この曲をあらゆるチェリストが取り上げるようになった。

もっぱらチェリストとして知られるカザルスだが、指揮者や作曲家としても偉大な足跡をしるしている。なかでも指揮活動は自作オラトリオ「かいば桶」の上演と共に、情熱を注ぎ続けた。

指揮者カザルスの作る音楽は、素朴そのものだ。念を押すようなごつごつしたアクセントは妥協という言葉を知らない彼の信念が刻まれているように聞こえるし、飾りなく歌われる歌には、彼の熱いヒューマニズムが脈打っている。

印象的なのはオーケストラの集中で、何かに取り憑かれたかのようなその演奏にはただならぬ気配さえ漂う。カザルスがなぜ「音楽の神さま」と呼ばれるのか、わかる気がする。

1960年からカザルスが講師をつとめたマールボロ音楽祭オーケストラを指揮した録音は最近になってかなり復刻されている。前述したような指揮者カザルスの特長が最もよく出ているのはベートーヴェンの交響曲第7番、第8番などで、背筋を正さずには聴けない鋼鉄のような精神の強さに打たれる。

※マールボロ音楽ライブはソニークラシカルから散発的に発売されている。リハーサルもおもしろいので、どうせならリハーサル場面のボーナスCDがついたものを入手するといい。ただの「音の連なり」が「音楽」に生まれ変わる瞬間が、たとえばバッハの管弦楽組曲第一番のリハーサルに見つけることができる。






最終更新日  December 24, 2009 03:02:53 PM
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