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投資の余白に。。。

投資の余白に。。。

January 29, 2010
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カテゴリ:クラシック音楽
昨年逝去した音楽学者の谷本一之氏は、札幌コンサートホール(キタラ)の札響によるこけら落とし(オープニングコンサート)について、「シベリウスをやるものと思っていたらサン=サーンスだったので驚いた」と書いたことがある。

「驚いた」という言葉には批判的な意味がこめられている。札響が最も得意とするレパートリーは武満徹やシベリウスであり、これらの音楽ではベルリン・フィルやウィーン・フィルを凌駕する。そういうプログラムでこけら落としをやらないのは、不見識きわまりない。

わたしはそう思っていたが、谷本氏も同じように考えていたのだと思う。ほかにこういうことを言う人はいなかったから、この文章が記憶に残っていまも消えない。

まあ、サン=サーンスの交響曲第3番が選ばれたのはオルガンが効果的に使われているからだろう。ハードにソフトを従属させる日本人の特性はこんなところにも発揮されていた。

その、こけら落としコンサートで演奏されるべきだったシベリウスの交響曲第2番が札響定期の演目にのぼるのは久しぶり。キタラで聴くのは初めて。その分、期待したが、ジョセフ・ウォルフというイギリスの若手指揮者のせわしなく落ち着きのない、余韻や余白を振り返る余裕のない指揮に失望させられた。

この若手は極東のいなかの世間知らずのオーケストラに本場イギリスのシベリウスを教えてやろう、そんな「世間知らず」の気持ちで来たのではないか。札響が長年、この曲の演奏で培ったある種の伝統に学ぼうとしていないのは、余韻を残すべきところでもさっさと切り上げ、ためを作らずに前に進んでいくその音楽作りから明らかだ。

そうした指揮者にもかかわらず、それでも札響のシベリウスには絶対に他のオーケストラには真似のできない美点、「本場」フィンランドのオーケストラさえしのぐ部分がある。線は細いが透明で寒色系の、ちょうどLINN社のオーディオのような音色がシベリウスに合っているといった表面的なことだけではない。このオーケストラには長い冬のあとの春の訪れを嬉しく思うような感情を、生活実感の中からシベリウスの音楽に共感しているような演奏態度がある。自分たちがいちばん言いたいことをこの音楽が言ってくれている、音楽とのそんな一体感があるのだ。

前半のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、飽きるほど実演で聴いた。この曲は世界中のオーケストラの定期演奏会から追放すべきだとさえ考えている。年に何回も、時には10回も聴かせられることがある。来日オーケストラの演目にこの曲があったら、当該オーケストラの事務局に、この曲がプログラムにある限り貴オーケストラのコンサートはキャンセルさせてもらう、というメールを出そうと準備をしているほどだ。

そんなこの曲では(大して名曲とも思えないので)、ソリストが美人なら観察し、そうでなければ寝ることにしている。今回は演奏者が事前のアナウンスとは変更になったので、何の予備知識もなしに聴くことになった。万が一、ソリストが美人だったときに備えて、オペラグラスを用意し、奏者がよく見えるRA席前方に陣取った。

そうして現れた韓国のシン・ヒョンスは超のつく美人だった。モデルのような体型と評している人がいたが、それは違う。たしかにモデルのような小顔だが、スレンダーでも肩幅はあるし、お尻も大きい。それに、ぱっと見には端正で清楚ではあっても22歳という年齢もあって色気もない。

しかし演奏中に見せる、聴かせどころのちょっと手前ではにかむように微笑んだり、ソリスティックに見栄を切る部分での恍惚とした表情などに、22歳とは思えない妖艶な色気があって驚いた。

日本人に比べると多少、化粧が濃いのはお国柄だろうが、彼女の瞳から放たれる光の妖艶さはアイシャドーのせいだけではない。

韓国はチョン・キョンファ以来、優れたバイオリニストを多く輩出しているが、シン・ヒョンスの演奏は、情熱的に大胆に弾きこむというより、繊細さと日本人のような端正でていねいな音楽作りが感じられる。短調の部分でも暗い情念よりも明るさを感じさせるような演奏は、明らかに新世代の感性であり、そしてそれは大変好ましいものだと思う。

同世代のシン・アラーなどと比べても、大陸的な感覚を残しつつもコスモポリタンな演奏スタイルというかこれまでの「韓国系バイオリニスト」の枠を超えていると感じる。

西のアラベラ美歩・シュタインバッハーと東のシン・ヒョンス。実力と美貌で群をぬくこの二人の登場によって、沈滞するクラシック音楽界の中でバイオリンの世界だけは目と耳を離せない独自のジャンルになった。

残念なことに、あれほどの美人なのにシン・ヒョンスはフォトジェニックではない。実物か動画でしかよさはわからないだろう。7月のN響オーチャード定期で演奏するとのことなので、収録が期待される。もう一つ、ステージマナーとしては、退場するときの歩き方に少し「オバサン」が入っている。左手はあんなに振らない方がいいし、歩幅も狭い方が清楚に見える。マネージャーを通じて注意してあげることにした。

ほかにベルリオーズの演奏会用序曲「海賊」。初演のころの聴衆は驚愕しただろうと思われるやりたい放題の異様な音楽。狂気というか誇大妄想というか、そういうものを解き放つのに、諸芸術の中では音楽が最もふさわしい器だと聴きながら思った。





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最終更新日  February 1, 2010 03:46:19 PM
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