投資の余白に。。。

September 10, 2010
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カテゴリ:映画
レンタル落ちDVDを購入しての観賞。DVDにはマリア・カラスと親交のあったゼフィレッリ監督のインタビューが収録されていて映画の理解を助ける。2002年の作品だから1923年生まれのゼフィレッリ79歳の作品ということになる。最近、ゼフィレッリの自伝を読んだが、これがどんな冒険小説よりもスリリングでおもしろかった。

ゼフィレッリは、映画監督としてもオペラ演出家としても酷評されることが多いが、なかなかどうして、さすが反ファシストの元パルチザンの気骨と知性を感じる。いわく、ハリウッドはカラスのスキャンダルをセンセーショナルに描いた映画を要求したが、カラスほどそれから遠い人間はいない。この映画で完璧を求め努力を惜しまない芸術家の真の姿を描きたかったのだと。それを若い世代に伝えたかったという。

引退したマリア・カラスを主役にしたオペラ映画を作る。実際には舞台で演じたことのないカルメンに、昔の録音をかぶせて映画化しようというのだ。カラスは承諾し映画は製作されるが、カラスの心変わりによって結局はお蔵入りになる・・・というお話。

ゼフィレッリの映画作りは、さすがにベテランの味がある。基本的な映画文法にのっとり、テンポも適切。映画とはこう作るものだという見本を見せてもらっているようだ。

しかし、何と言ってもすごいのはカラスを演じたファニー・アルダン。容姿が似ているだけでなく、身振りにしても話し方にしても、まるでカラスの魂・内面がのりうつったかのような迫真の演技であり、何年もかけての役作り、勉強や研究の跡を感じる。この映画はアルダンなくしては駄作になっただろうし、ゼフィレッリはアルダンを発見したことでこの作品を着想したのかもしれないとさえ思う。

完璧主義者カラスは、観る人によっては気難しい芸術家としか感じないかもしれないが、カルメンの制作に打ち込む部分などでは、カラスはほんとうにこういう人だったのだろうというリアリティがある。芸術というのは途方もない努力の末に生まれるというのはゼフィレッリの信念でもあるだろうが、そういう舞台裏を見るような迫力がある。

ゲイのプロデューサー役はゼフィレッリ自身におきかえて見ることができる。二人の間には、こんな会話が交わされたことがきっとあるだろうと思うと感慨もひとしおだ。

ゼフィレッリの恩人で友人でもあるココ・シャネルの衣装が全編に渡って使われていて、これがまたすばらしい。シャネルもまたただの「洋服デザイナー」ではなく、真摯な芸術家だったことがわかる。

こういう映画は手元において、年に1度は繰り返し観たい。DVDを買ったのは正解だった。毎年12月にはこの映画を観て、カラスの生誕を祝おう。






最終更新日  September 11, 2010 01:42:02 PM
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