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カテゴリ:読書日記
著者は1967年生まれのジャーナリスト。日本に留学経験があるということだが完璧な日本語で書かれた本。日本人の書く日本語には軽薄さと傲慢さを感じることが多いが、この著者の文章にはそういうところがない。抑圧民族と非抑圧民族のちがいはこういうところに鮮烈に現れる。
日本の植民地だった韓国には日本家屋や建築物が多く残っている。韓国の大きな都市のそれらを、解放後に打ち壊された神社など跡地も含めて「助手」の日本人カメラマンと旅をしながら訪ね歩いた異色の「旅行記」。 著者は前書きで、日本人は、植民地支配について「あまりにも無自覚な人」と「やたらと反省する人」の二極化が激しいのではないか、という。いずれのタイプと話をしてもギクシャクしたものを感じてしまう、韓国人と日本人はもっと肩の力をぬいて話し合えるはずという。 歴史を知っているほど旅行は興味深いものになる、ということを地で行っているような本だ。著者は若い女性だというのに、歴史や地理について該博で、観察が細かいだけでなくどんどん「発見」していく。若い女性という属性を利用して、飲み屋に突撃し植民地時代の話を聞き出し、日本家屋を改良して使っている韓国人の家にやはり「突撃」していく。こういう本を書くという目的があったにしろ、思いきりのよい行動力とその行動の結果得られた成果の分析は鮮やかで小気味いい。 日本と韓国の文化・習慣の両方に精通し、たぶん両国の言葉をそれぞれネイティブよりもはるかに使いこなすことのできる人の観察と分析力には舌を巻いたし、前書きにあるようなしなやかで柔軟な感性が育っているのには希望がもてる。 この著者には「日本が知らない北朝鮮の素顔」「あっと驚く、北朝鮮! 」といった著書もあるらしい。 1967年生まれというと「光州以後」の世代だ。その世代にこういう人が育ってきているところをみると、どうやら韓国の文化は日本のそれより優っていると考えてまちがいないだろう。日本の1967年生まれの女性の誰が、これほど中身のある本を書いているだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 11, 2012 09:53:47 PM
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