投資の余白に。。。

February 18, 2013
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市東孝雄さんの決意が法廷を圧倒


成田市天神峰に市東孝雄さんという人がいる。100年近く営農をしてきた市東家の3代目で、60代なかばくらいの人。「生き方を尊敬していた」という父親が病に伏した1999年ごろから完全無農薬による畑作りを始めた三里塚の農民である。いまは50種類以上の野菜を作り、300世帯以上の会員に自ら配達する産直運動をになっている。

市東家3代が小作人として耕作してきた約1ヘクタールもの広大な土地を成田空港会社が地主から買収したのは1988年。これは隠密裏に行われた。そもそも戦後の農地解放で市東家の所有になるはずだった土地だが市東さんの父の戦地からの帰還が遅れたため、そのままになった土地。地主は1988年に土地を空港会社に売却したあとも、その事実を隠して孝雄さんから地代を受け取っていたという。公訴時効になっているが完全な詐欺だ。

小作人に無断の買収はそもそも違法である。しかも農地を買収した場合、最長でも1年以内に農地転用許可をとらなければならない。しかし成田空港会社はそうした措置をとらず放置してきた。

それを最近になって、自分たちの土地だから立ち退くようにという裁判を起こしてきた。しかもその理由というのが根拠薄弱なのだ。成田空港の運営のためにどうしても必要かと思ったらそうではない。空港に隣接していなくては意味のない施設を作るという名目で、空港から遠く離れた市東さんの土地を取り上げる裁判を起こしてきたのだ。何から何までデタラメでありペテンだ。

2月18日は、この裁判の市東さん本人尋問が行なわれる日。この裁判に合わせて集会とデモ、千葉地裁を包囲する「ヒューマンチェーン」が行われるというので参加することにした。

反対派一掃のための思想差別裁判

この裁判の経緯からわかるのは、三里塚が日本のパレスチナであり、空港会社と日本政府がイスラエルと同じ一方的な侵略者であることだ。そして結果的にこの日の裁判を傍聴できてわかったのは、裁判所がイスラエルそのものであることだった。

本裁判における裁判長の訴訟指揮は、その温厚で誠実でよき家庭人を思わせるその人柄にもかかわらず、明らかに国家意志、どんなことをしてでも空港に反対する農民を抹殺しようという国家意志を体現したものだった。この裁判の本質は思想裁判である。

わたしも多くの裁判を傍聴してきたし、原告になったことも、証人として出廷したこともある。家裁から高裁まで、多くの裁判官を見聞してきた。

その中でも、千葉地裁のこの裁判長(名前失念)は、とび抜けてあたたかな人間性を感じさせる、庶民の気持ちを理解するエリート臭のない裁判官だと感じた。要するにいい人なのだ。

しかしその訴訟指揮は、県の代理人弁護士が提出した矛盾した見解を擁護し弁解するものだったのである。これには総勢8名の弁護団、傍聴席を埋めつくした60名の支援者たちも激怒するほかなかった。

実のところ、赤字すれすれの成田空港会社は、必要にかられて裁判を起こしてきたのだろうと思っていた。彼らにも一分の理はあるのかもと思っていたのである。しかしそうではなかった。空港反対派農民が空港の近くで営農すること自体を許さない、そうした「思想差別裁判」なのだった。もし判決が市東さんの営農の権利を奪うものだったら、それは日本が民主主義を捨てたことを意味する。つまり、裁判所がわれわれに革命権を付与したということだ。国家が国民を殺すなら、国民は国家を打倒する権利を手に入れることになる。

この裁判はそれくらい大きな意味を持つ。だから参加したのだ。

千葉地裁包囲のヒューマンチェーンが大成功

朝7時30分。千葉駅での街頭宣伝から長い一日が始まる。全学連現地闘争本部メンバーそのほかとビラをまく。しかし受け取りは悪い。森田健作を知事に選ぶような保守的な土地であることが思い出される。それでもチラシは少しずつなくなっていく。中には有料のパンフレットを買い求める人もいる。

10時、千葉市中央公園に移動。デモに先立つ集会では、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原委員長(90歳)や動労千葉の田中委員長、弁護団の葉山岳夫氏、沖縄からの参加者、市東さんの農地を守る会の女性といった人たちのアピールが続く。この女性は11月、横堀団結小屋破壊阻止闘争のときにも気を吐いていた人。まるで現代のジャンヌ・ダルクといった感じで集会とデモを牽引した。
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この日の参加者は300名ほど。ふだんの10倍くらい人が集まったという。反対同盟のトラクターを先頭に千葉地裁まで歩く。窓から手を振って応援してくれる人もいる。さすが三里塚闘争だ。

千葉地裁包囲のヒューマンチェーンは成功した。平日の闘争だったせいか高齢者と学生が多かったが、「人間の鎖」が千葉地裁を包囲した。

裁判は午後1時30分から6時過ぎまで。裁判所の外では第二波のデモと街頭宣伝が繰り広げられたが、傍聴券の抽選に当たったので参加できなかった。裁判の印象は前述した通りだが、市東さんの父が出稼ぎをしながら作り上げた農地であること、化学肥料を使わない土作りには十年単位の気の遠くなるような時間がかかること、市東さん自身、最初の数年は赤字で預貯金をとり崩しながらの試行錯誤の日々だったことなども明らかになり傍聴者の感動を誘った。

集会とデモでは北海道にはない二つの新左翼セクトを見ることができた。共産主義者同盟統一委員会派と社青同解放派(狭間派)である。後者は陰惨な内内ゲバで知られるが、宗派的な雰囲気は感じない。若者もいて、新しい活動家の獲得に成功しているのがわかる。北海道でよく見かける革マル派活動家の陰険なキャラクターとはちがって、彼らの人格的たたずまいそのものには好感がもてる。

共産同統一委員会派とは、共産同戦旗派(現在のアクティオ)から分裂した西田派と共産同烽火派が合体してできた党派らしい。日本男児というか男っぽい風貌の活動家が多い。自衛隊の制服の方が似合いそうな人が多く、むしろ機動隊員の方がひ弱な感じする。こういう硬派な党派の存在は心強い。

中核派系全学連の学生は数十人参加。彼らは党派色はいっさい出していない。中核派系全学連の委員長はノンセクトだというが、党派利害よりも大衆的な運動の構築を目指すようになったのだろうか。にわかには信じられないが、そうだとすると彼らは運動の主流になっていくのではと思う。慶応大の松室しをり、法政大の洞口朋子さんらを初めて見ることができた。

集会と反対同盟のトラクターを先頭にしたデモの様子はYOUTUBEで見ることができる。

沢田🔴ニが一市民として参加

検索逃れのために伏字にした。

集会場に、どこかで見たことがあると感じる人がいた。京大熊野寮出身のノンセクト活動家の知人に似ていたので思わず目礼したが向こうは気がつかない。

デモでも一緒だった。一人で来ているようだった。

ヒューマンチェーンのときも近くにいた。シュプレヒコールの声を聞いて、突然わかった。この整った顔立ちの上品な雰囲気の男性が、沢田さんちの研ちゃんであることが。小学生のころ「シーサイドバウンド」や「君だけに愛を」で親しんだ、まさにあの声が「農地を奪うな」「三里塚空港を粉砕するぞ」と叫んでいる。

中学生のころギターを始めたのも、タイガースのマネがしたかったからだ。中1のクリスマス会ではバンドを作って「花の首飾り」を演奏したこともある。あの歌は加橋かつみが歌っていたと思うが、あの前奏を弾きたくて選んだ。

競争率6倍の抽選に当たったため午後の集会やデモには出られなかったが、先ほどのYOUTUBEの映像をじっくりみると、彼は終日、闘争に参加したようだ。小雨がぱらつく寒い日だったので、傍聴券があたってホッとしたのが正直なところだが、何だか借りができてしまったような気持ちだ。

人気が命の芸能人とちがい、アーティストには政治的活動や発言をしている人が多い。イタリアのロックミュージシャンなど8割がた左翼・新左翼的立場だし、ラテンアメリカ諸国の放送局はいつもどこかでチェ・ゲバラを讃える歌を流している。レナード・バーンスタインはブラックパンサー党の公然たる支持者だったし、ハリウッド・スターには環境保護活動に熱心な人も多い。日本でも、「過激派の教祖」こと滝田修を匿っていたのは高名な美術家たちだった。

沢田⚫二も「わが窮状」で憲法擁護を訴えたりしているのは知っていたが、よもや三里塚闘争で出会うことになるとは思いもよらなかった。

闘争参加者はだれひとり気づいていない。数人に話してみたが誰も信じなかった。

最近も吉田拓郎との対談をテレビで見た。その番組でも自分をタレントではなくアーティストと規定しているように感じ、意外と地味で硬派な人柄だったのが印象に残っていた。こうして、まったくえらぶることなく、暑い寒いと文句も言うことなく無名の一市民として国策に反対する集会とデモに参加する姿勢は立派だ。

今度、闘争の現場で会うことがあったら、気がつかないふりをしていろいろ話してみたいと思う。この動画では4分10秒から12秒のあたりにうつっている。傘をさしマフラーを巻いた上品な雰囲気の人だ。

それにしても人生には思いがけないことが起きるものだ。ローティーンのころの憧れの大スターと手をつないでシュプレヒコールを叫ぶことになろうとは。

47年目の三里塚闘争はいよいよ空港会社を追いつめている。完全廃港まで闘う決意を新たにしたことだった。

北原さんの年齢まであと34年ある。できれば100歳以上まで生きて、あと50年は三里塚闘争を闘うつもりだ。
  






最終更新日  March 13, 2013 04:06:51 PM
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