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カテゴリ:映画
見終わったあと、なるほどと思った。こういうやり方なら素人でもドキュメンタリー映画を作ることができるような気がしたからだ。特別な気負いや問題意識がなくても、自分が調べたり勉強したりする過程をそのまま一本の映画にするならできそうだ。
娘が拾ってきた子猫を育てることをきっかけに動物の殺処分の問題に関心を持った、東京のドキュメンタリスト泉悦子監督の2014年作品。練馬区や中野区で野良猫の生活や野良猫の保護活動をしている人たち、行政などにも取材して、野良猫「問題」に関する基礎的な知識を教えられた気がする優れた映画になっている。 「教えられた気がする」といってもNHKのドキュメンタリーのように固くはない。また、社会派ドキュメンタリーにありがちな結論への誘導もない。それなのに、この映画を観た後は、道で見かける野良猫に「同じ世界で生きる仲間」としての愛情を感じるようになる人は多いと思う。野良猫を捕獲し去勢手術をしたり、事情で飼えなくなった猫の新しい飼い主を見つけたりする地道な活動をしている人たちには頭が下がるし、さすが東京というか、こうした地域の民度の高さも印象に残る。 話は飛躍するが、ハンセン病患者(あるいは患者にでっちあげられた人)にとって戦前と戦後は何も変わっていない。日本は戦後も戦前同様のファシズム国家である。 野良猫の立場になってみるとする。保健所に持ち込まれた猫は(減少してはいるものの)ほとんどが殺処分の対象になる。生かしてはもらえない。野良猫の立場からは日本は旧ソ連やナチス時代のドイツも顔負けの全体主義国家だということがわかる。民主主義なるものの欺まん性はこうした排除され抹殺される側に立つときはっきりする。 泉監督はアメリカのポートランドとドイツのベルリンにも出かけて取材している。驚くのは、予想されたことだがアメリカにおける活動の規模の大きさや徹底した合理性、それを支える膨大なボランティアと寄付文化の存在。また、ドイツでは犬猫の殺処分が法律で禁止されているというのには驚きを通り越してしまう。同性愛者を死刑にする国はモーリタニア、スーダン、アフガニスタン、パキスタン、チェチェン共和国、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、ブルネイの10ヶ国があるが、犬猫の殺処分を法律で認めている日本はこうした国を嗤えない。 水俣病の最初の被害者は猫だった。猫が死に、ネズミが大増殖したという。わたしの家でも、飼い猫が死んで数ヶ月後、ネズミが床を食い破って侵入してきた。 猫は収穫した食べ物(穀物など)を守り、家畜を守り、ネズミによるペストの流行から人類を守ってきた。ヨーロッパではペストの大流行で人口の3割が死んだが、ヨーロッパ人が猫を大事にするのはこうした歴史も関係しているにちがいない。 一方、日本では小動物を虐待する人間が増えている。川崎の廣瀬勝海、広島市南区仁保南1丁目の松原潤のような輩をせん滅したところで警察は捜査しないだろう。 日本の警察にもその程度の良心は残っていると信じたい。 それにしても思うのは、ペットショップなるものがはびこる日本のすさんだ現実である。保健所に行けば救える命があるのに、大金を出してペットを買う。無知もここまで来ると犯罪の域に達している。 野良猫の捕獲機ははじめて見たが、よくできている。ああいうものを大量に用意して野良猫を一気に捕獲し、去勢手術をすれば殺処分などすぐゼロにできると思う。 この映画に出てくるような良心的な獣医との連携ができるかどうかがひとつの鍵にちがいない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 14, 2014 12:01:49 PM
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