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投資の余白に。。。

投資の余白に。。。

November 18, 2014
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カテゴリ:クラシック音楽
2週間前に都響、4日前に札響を聞き、その響きが耳に残っているうちに珍しい台湾のオーケストラを聞く。

台北は260万都市だが、台北圏となると700万人を超える一大都市圏。3つのプロオーケストラがある。そのうち、フィルハーモニア台湾は聞いたことがあるが、台北市立交響楽団ははじめて。もうひとつ、航空会社が運営するエヴァ・グリーン・オーケストラというのもあるらしい。

プログラムはオール・チャイコフスキー。指揮はギルバート・ヴァルガ。往年の音楽ファンにはなじみのバイオリニスト、ティボール・ヴァルガの息子という。

「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズで幕開け。トゥッティの多い曲なので、オーケストラ全体の性能をききとるのちょうどいいし、華やかな幕開けに一瞬で日常を忘れることができる。

各パートの凸凹の少ない、バランスのよいオーケストラ。スタープレーヤーもいないが、劣ったパートもない。技術水準だけでいえば日本のオーケストラのいくつかは凌駕する。札響や都響とはかなりキャラクターが異なるがほぼ互角と言っていい。

続くチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番では、ソリストのアンナ・ヴィニツカヤが圧巻。30代はじめのロシアの女性ピアニスト。細部まで気を配りつつ神経質にならない、流麗でありながら表面的な美しさに終わらないスケール感ある演奏。3楽章のリズムにはロシア的な民俗性も感じたが、それが乱暴にならず推進力になっていたのがすばらしい。

ギルバート・ヴァルガもいい指揮者だ。指揮姿が優美でバトンテクニックも秀逸。音楽のとらえ方もフレーズ感が長く、停滞することがない。

メーンの交響曲第6番「悲愴」は、しかし感銘には遠かった。

フィルハーモニア台湾もそうだったように思うが、このオーケストラも女性が多い。8割弱が女性で、コントラバスにさえ男性がひとりもいない。

そのせいかどうかわからないが、あと一押しの力感がほしいところが妙におとなしい。フィナーレのうねるような音楽も、石炭が燃える熱さというよりはアルコールガソリンの炎のよう。北欧やロシアの音楽には、うちにこもったものを解放し爆発させるような、演歌に近い情念を感じさせるものがあるが、南の国のこのオーケストラには、そういう感性のボキャブラリー自体がないように感じた。

特にフィナーレのクライマックスでは、男性の弦楽器奏者は大きなジェスチャーで共感豊かに演奏していたが、ほとんどを占める女性奏者たちはさめているというか、きれいに演奏しているだけに感じられたのだ。

台湾のオーケストラが女性ばかりなのは、兵役が関係しているらしい。男性は外国のオーケストラに行ってしまうという事情もあるようだ。

日本のオーケストラも特に弦楽器は女性が多いが、そういうオーケストラほど音はきれいでも響きが薄く、ここ一発の盛り上がりには欠けることが多い。

ヴァルガも優れた指揮者だが、そうしたオーケストラをも狂気に導くようなカリスマ性はない。

不完全燃焼なのではない。完全燃焼なのだが温度が上がりきらない、そんなもどかしさの残った「悲愴」だった。






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最終更新日  December 5, 2014 12:25:58 PM
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