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カテゴリ:自叙伝
先を急ごう。
ミュンヘンからヴェネツィアまでは550キロある。6時間から8時間はかかったはずだ。 朝ミュンヘンを出ても、ヴェローナで昼食をとったりしたからヴェネツィア到着は夕方だったはずだ。 翌日は午前の列車で出発した記憶があるから、24時間どころか、ヴェネツィアには18時間程度の滞在だったと思われる。 このときの写真が何枚か残っている。それを見ると、リアルト橋近くの中央市場に行ったりしている。朝食のあと明るくなったヴェネツィアを歩いたのだろう。フェリーから撮った写真も残っているので、フェリーに乗って終点まで往復する、というようなこともやったのだろう。 ![]() ![]() ![]() ![]() ミュンヘンへ帰る彼女とヴェローナで別れたあと、ミラノへ向かった。有名なドゥオモだけ見た。ミラノはイタリア経済の中心地だが近代的な都市であり、見どころは少ない。ドゥオモはたしかに壮麗で圧倒されたが、5分も見ればもういい。ドゥオモから徒歩圏にあるレストランで夕食をとった。 「ヨーロッパ2000円の宿」に紹介されていたレストランを探して行った。歩いていると、入口が小さいが何か由緒ありげな建物があった。近づいてみるとスカラ座だった。 入った店はイタリアでは標準的なレベルだったように思う。何か野菜料理とパスタを食べようと思ってそれらしきものを注文した。 運ばれてきたのはほうれん草の炒め物とアサリのパスタ、いわゆるボンゴレ・ビアンコだった。 食べた瞬間にアタマの中が真っ白になり、気がついたときには目の前に空の皿だけがあった。そういう経験はその後何度かしたが、このときが初めてだ。 いや、6~7歳のまだ食が細いころ、月に一度か二度、母が作ってくれたカレーはそういうものだった。味噌と塩と醤油、ダシといえば煮干し、マヨネーズやケチャップでさえまだ珍しかった時代、カレーだけはお代わりをして食べたものだ。一皿目は、食べ始めた瞬間に記憶がなくなるほどおいしいと感じ、やっと二皿目でゆっくり味わって食べた、そんな記憶がある。 だからこのときも、ほんとうはもう一皿追加すべきだったのかもしれない。 ドイツではあまりおいしいものにあたらなかったせいもあって舌が飢えていたのかもしれない。しかしそれにしても、ゆでたパスタにアサリを和えただけのものがこれほどおいしいとは、人生観が変わる思いだった。いままで食べていたのはいったい何だったのだ。 だまされていた、という思いとともに痛感し後悔したのは、自分自身の好奇心の不足である。高いカネさえ出せばおいしいものを食べられる、というか高いカネを払わなければおいしいものを食べられないという思いこみがあった。だから、食べることに対する興味を自ら閉ざしている部分があったと思う。 しかしごく庶民的な店でおいしいものが食べられるイタリアに来てみると、そういう思いこみが木っ端みじんに粉砕されるのを感じた。高いカネを払わないとおいしいものが食べられない日本社会の構造は、資本主義の罠だったのだ。 サイゼリヤの創業者が世界中を旅して、低価格でおいしいものを食べているイタリア人の生活に注目しその再現をめざして開業したことはよく知られている。サイゼリヤとさほど変わらない値段でサイゼリアよりはるかにおいしいものを食べているのがイタリア人の日常なら、日本人やドイツ人やアメリカ人の日常は何なのだ。 おいしいものが食べられないからあくせく働くか戦争をするか人種差別をするしか能のない人間になるのだろう。 ムッソリーニが作ったアーケードで有名なミラノ中央駅に戻るため、地下鉄に乗ろうと思った。ドゥオモまで来るのにも地下鉄を使ったので、来たのと反対側のホームに行けばいいと考えた。 しかしおかしなことにそのホームには人がいない。向かいの、反対方向に行くと思われるホームには人がたむろしている。ロックコンサートでもあったのか、パンクの服装をした若者たちが大勢いた。 人のいないホームにいてもしかたがないと思ったのでそちらに行った。念のためパンク少年に聞いてみたら、夜遅い時間帯はこちら側の線路しか使わないのだという。にわかには信じがたかったが、同じ線路を正反対方向に電車が行き交うというのはどういう仕組みになっているのだろう。 地下鉄だから、待避するような仕組みにするのはコストがかかりすぎるはずだ。本数の少なくなった時間帯は同じ電車が飛行機のように同じ路線を往復するのだろうか。そうだとすると、何だか笑えた。 行き先も書いていない電車が入ってきた。パンク少年は「THIS、THIS」と教えてくれた。 金髪にピアスにケバイ化粧の、ちょっとやばそうな見かけだったが親切でいいヤツだった。 背も低かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 14, 2016 11:59:16 AM
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