投資の余白に。。。

July 23, 2016
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カテゴリ:クラシック音楽
3つのプログラムで行われるPMFオーケストラコンサート、Aプログラムの初日。

まず興味は今年のPMFオーケストラの参加者のレベル。昼のオープンリハーサルを見学した限りでは過去26回の平均といったところか。女性とアジア系の割合が増えてきている。

次の興味は指揮者のジョン・アクセルロッド。今年50歳のアメリカ人指揮者で、ハーバード大学出身で前職はカリフォルニアワインのバイヤーという経歴の持ち主。バーンスタインとムーシンに師事したことがあるらしい。

前半はワーグナーの楽劇「さまよえるオランダ人」序曲とドビュッシーの交響詩「海」。

わかりやすい指揮を見ていて、いちばん最初のリハーサルを見学してみたかったものだと思った。にわか仕立ての学生オーケストラを数日のリハーサルでここまで整え、音楽的な演奏ができるまでに導く手腕そのものに興味を持ったからだ。これまでのPMFに登場した指揮者をつらつら思い返しても、自分の解釈の押しつけではなく、まずオーケストラからバランスよい響きと開放的な音楽を作りだすことのできた人は決して多くない。

その点、オーケストラビルダーとしてかなり優れた人ではないかと思うし、オーケストラのメンバーから好かれ信頼されるタイプだろう。

二曲とも特に不満のない出来。ディナミークがややフォルテよりで、耳をそばだてるようなピアニシモや神秘的な音空間の創造(特にドビュッシー)はなかったが、明晰なのに温かみのある音作りには好感。

後半、マーラー「交響曲第4番」では、ウィーン・フィルの現・元首席奏者が弦の、ベルリン・フィルの現・元首席奏者が管打楽器セクションに加わる。コンサートマスターの席にライナー・キュッヘルが座るだけで格が上がった気がするが、音も明らかに変わる。音に厚みや膨らみが加わり、フレーズが尻切れにならず次の音楽にリレーされていく。

曲のせいもあるが、アクセルロッドの音楽からは皮肉や哀愁や怒りや諧謔といったものがきこえてこない。これは世代のせいもあるかもしれないし、アメリカの指揮者にかなり共通の現象かもしれない。暴力的・悪魔的な表現を要求されるような作品でどうなのか。バーンスタイン作品や現代曲も得意としているようだが、陰のある明るさのようなもの、あるいは暗い中に光が差し込んでくるような音楽でどうなのかは未知数だ。

すでに録音も多くブラームスの交響曲全集も出ている。Bプログラムのブラームスでその辺のことを確かめられるだろう。

マーラーのソリストは今野沙知恵。音程は正確だが声に伸びがなくオーケストラに消されてしまう部分もあった。

なおこのコンサートの前に小ホールで無料の室内楽コンサートがあった。例年のことながらこれが出色。シュールホフの「フルート、ヴィオラとコントラバスの小協奏曲」、バックスの「フルート、ヴィオラとハープのための悲歌三重奏曲」などが演奏された。オーケストラメンバーでは大平治世という人のフルート、セバスチャン・ジンカのコントラバスなどが印象に残ったが、安楽真理子のハープ、ミヒャエル・フーデラーといった教授陣の演奏はまた別格。

この二人はフランセの「バロック風二重奏曲」とフォーレ「夢のあとに」、サン=サーンス「白鳥」を演奏。めったに聞くことのできない曲と編成、室内楽ならではの臨場感は、もしかするとPMFの全プログラムを通じての白眉かもしれない。








最終更新日  July 24, 2016 01:05:41 PM
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