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はらぺこぐんだん2~殴りBISの破砕日記~

3章



3章
【逃走】





「無駄にデカいわね」

「数テラバイトはあるなこりゃ」


僕達はシステムビルを見上げながら各々そんな感想を言う

「なぁ、ジグ!記憶戻ったらレベル上げ手伝ってくれよ!」

チャラ男・・・いや
プレイヤー名【隼☆】が笑顔で肩を叩いてくる


「は、はぁ・・・はは」

どう返していいのやら解らず
適当に苦笑いで返す


ところで
何故お互いに名前を知っているのかというと

ここに来るまでの間に

彼ら3人が、腕の機械を使って
自分達のステータスを見せてくれたからだ


隼☆いわく
「EMに名前覚えてもらえば色々有利になりそう!」
との事

いや・・・何がだよ・・・

まずEMがゲームの情報を流したり
プレイヤーの一部を有利に立たせる事はルール上ありえない

そもそも僕がEMだと決まった訳でもない

ともかく
3人の表示されたステータスはこうなっていた


____________

名前:クランツ
職業:戦士
ギルド:黒ぬこ
レベル:136
ランキング:60位
能力:【スコープ】
____________

最初に話し掛けてきた男比較的真面目で世話焼き
ギルド黒ぬこのマスター
見た目は少し筋肉質である

能力の【スコープ】は、対象とした相手やモンスターの
ステータスをある程度見る事ができる。



____________

名前:琉架
職業:サマナー
ギルド:黒ぬこ
レベル:109
ランキング:76位
能力:【4段階進化】
____________


話し掛けてきた3人の中で唯一の女性。ギルド名を考えたのは琉架

能力の【4段階進化】は、召喚獣を4段階まで進化出来る能力で
4段階召喚獣は3段階と比べ数倍から数十倍の強さを誇る





____________

名前:隼☆
職業:シーフ
ギルド:黒ぬこ
レベル:101
ランキング:85位
能力:【隠密】
____________


見た目はそこら辺に居そうなチャラ男
お調子者だが意外と頭は良い

能力の【隠密】は、自身や武器を透明にしたり気配を消せるが
自身より一定以上レベルの高い相手には無効。





ちなみに自分のステータスも見てみたら、こうなっていた


____________

名前:ジグ=ヴェルディ
職業:ガンナー
ギルド:無所属
レベル:888
ランキング:1位
能力:【MOC】【輝翼】
____________



他の3人のレベルとランキングから察するに、僕のレベルは物凄い事が伺える
やはり僕はこの、名前も知らないゲームの運営側の人間なんだろうか・・・

腰にホルスターを付けており
そこに細身のリボルバーがぶら下げてある為、職業は納得できるのだが

能力の【MOC】【輝翼】は、どんなものなのだろうか


そして


3人が最初のほうに話していた時の言動からして
このゲームはまだ始まって間もないようなのだが

その状態で888という僕のレベルは明らかにおかしい・・・
自分の事ながら謎だらけで頭が混乱してきそうだ




さて、話を目の前に移そう

僕はやたら話し掛けてくる隼☆に苦笑いで返しながら
目の前のビルを見渡す

数十階あると思われる高さ

そして目の前には
大きな入口があり、その両側には黒い仮面をつけたランサー?が
2人入口を守るように左右に立っていた


僕達はその・・・仮面ランサーに少し警戒しながら近づく


ガチャンッ

するとその仮面ランサーは少しこちらに寄りながら
槍をこちらに向ける


「貴様我何者だ?」


僕達は少したじろぐ

だが先頭に居たクランツだけは冷静に言う

「システム上のバグらしきモノを発見したので、直接報告に来ました」

それを聞いて
右側のランサーは無言で機械をクランツに向けてから言う

「ふむ、よかろう」

そしてもう1人のランサーにアイコンタクトを取ると
元の位置へ戻っていった

「行こう、皆」

僕達はクランツの言葉に頷くと
クランツの後に着いて入口から中へと入った


中へ入ると
海外のリゾート地にある超高級ホテルのような作りのロビーが広がっていた


ゲーム内であると解っていても
雰囲気にのまれそうになる

「すっげ~」

はしゃぎながら隼☆は
そこら辺の高そうな壷やインテリアをペタペタ触っている

実際はデータである為
壊したとしても問題は無いのだが


「あまり触らないほうが・・・」

琉架はオロオロとしながらそれを見ている
僕と同じで、周りの人もやはり気が気でないようだ・・・



ガシャンッ!


ッ!!・・・ほらみろ


「あはは、やっちまった~、てへぺろ」

ゴチンッ

「ッてぇえええ!」

クランツが隼☆の頭をグーで殴りつけ
隼☆は痛そうに頭を押さえて涙目になっている


「バカな事してると目つけられるぞ・・・」

「す、すまん」


僕たちはまだ痛がってうずくまっている隼☆を置いて
ロビーにある受付ののような場所へと向かった


「ちょ、待ってよ~」

受付に辿り付くと、そこには
【EMパロ】という名札を付けた筋肉質な人が立っていた

見た目から察するに、BIS(ビショップ)だろうか


(・・・ん?何で今僕はこの人の職業がBISだと思ったんだろう
ここに来るのも見るのも初めてだし知識も無いはずなんだけど・・・)

僕は自然に考えた事に対して矛盾を抱いた

「どうした?ジグ」

悩みこむ僕に
クランツが不思議そうに尋ねる

「いえ、なんでもありません」

とりあえず人に話しても意味がない為
今の矛盾に関しては自分の中に留めておく事にした

(まぁ、そのうち解る事でしょうし・・・)


僕たちのやり取りがひと段落したのを見計らい
EMパロが笑顔で話しかけてくる

「ようこそシステムビルへ!今回はどのようなご用件ですか?」


その声を聞いて
僕の方を向いていたクランツがEMパロへと向き直る

「こいつの事なんですが、少し不具合が起きているようでして」

クランツは僕の背中に手を回して
前へゆっくり押し出すようにカウンターへ近づける

EMパロは手を顎に添えながら
僕の事を観察するように見つめる

「ふむ、この方がどうかなされましたか?」

「実は・・・」

クランツは少し小さめの声で
EMパロに顔を近づけて話す


______
_____


「ふむ・・・それが本当であれば相当問題になりますね」

クランツを通して俺の現状をEMパロへ伝えると
彼は腕を組んでうーんと唸り俯く

そして小さな声でぼそぼそと呟く

「例の事と関係が?・・・いや、さすがに・・・」


それを見ていた僕らは
少し不安になりつつもEMパロの顔を伺う

「あのぅ・・・」

琉架が声を掛けるとEMパロは
ハッとして顔を上げる

「あぁ、すいません」

苦笑いと愛想笑いの中間のような笑みを浮かべて
EMパロは備え付けのモニターを操作しだす

スッ、スッ

そのモニターはタッチパネルらしく
EMパロは慣れた手つきでそのモニターを操作してゆく


「さて、担当の者をお呼びしましたので、そちらで少々お待ち下さい」


EMパロはそう言うと
ロビーに設置されている高級そうなソファーを手で指す

「ありがとうございます」

丁寧にお辞儀をするクランツ
筋肉質で粗暴そうな見た目に反して彼は結構礼儀正しい


僕たちはEMパロに言われたソファーへ座ると
担当者を待つことにした


僕がソファーへ深く腰を下ろすと
クランツがものすごく近くまで顔を近づけてきた

「う・・・なんですか?」

少し引きながら苦笑いでクランツを見る

だがクランツは真剣な顔で
手を僕の耳に添えるとコソっと話しかけてくる


「何かおかしい・・・いつでも動けるようにしておけ」

「え?それって・・・」

最初クランツが何を言っているのか分からなかったが
クランツが目線で合図を送ってきたので
その方向を見てみると


先ほど入口にいた仮面ランサーが
武器をいつでも使用できる状態にして
こちらを睨んでいた


しかも

辺りを見回すと1人、2人ではない

柱の陰や、吹き抜けとなっている2階の廊下にも
仮面ランサーの姿が見えた


「こ、これは一体・・・」


異変に気づいた琉架と隼☆も
辺りを見回し始める

「壺割ったの怒ってる・・・?」

顔を真っ青にしながら隼☆は頭を抱える


「いや、狙いはお前のようだぞ」

クランツは冷静に僕にそう言う


「何で・・・僕が・・・」


静かに警戒を見せながらこちらを伺っていた仮面ランサー達だったが


「「GO!」」

突如響き渡ったこの声で一気に僕たちへ向かって
武器を構えながら近づいてくる


「ゆるしてええええ!」
「壺ぐらいでやりすぎじゃない・・・?」

隼☆と琉架はまだ壺の事だと思っているようで
仮面ランサーに対して手を上げている


僕らを円形に取り囲むようにして
仮面ランサー達は槍を一斉に向けてくる

そして、その奥から
リーダーらしき仮面ランサーが歩み寄ってくる


そのつけている仮面の違いと周りの仮面ランサーの動きから
彼はこの仮面ランサー達を統率する立場だと解る


「そこの君、おとなしく着いて来てもらおうか」

リーダーらしき仮面ランサーは
そう言いながら近づいてくる


ただならぬ雰囲気に僕は後ずさってしまう
クランツも同様に僕をかばいながら後ずさる

「痛いっ、やめてー!」
「何すんだよっ、謝ってるじゃないか!」

突然後ろから琉架と隼☆のそんな声が聞こえる

振り返ってみると
2人が仮面ランサー達に拘束されていた

「何してるんだ!」

クランツはすぐに助けようと向うが
他の仮面ランサー達が立ちふさがる


「クランツー!」
「いてて、いてっ」

どうする事もできずに
僕とクランツは連れて行かれる2人を見守る事しか出来なかった


「くそっ!何だってんだ!」

クランツは怒りの表情をあらわにして
腕の機械を操作する


シュンッ!

瞬間、クランツの手には大きな斧が握られていた


それを見るやいなや仮面ランサー達は警戒を強め
武器を握りなおす


「君には用はない。反抗するならば彼らのように連行するぞ」

リーダーがそう言って槍をクランツへ向ける


「理由も聞かせずに対応するとはいい度胸じゃねぇか!」

クランツはそう言うと


ヒュゴッ

斧を前方へ思いっきり振った


【ソニックブレード】


振られた斧から
目に見えるほどの衝撃波が生まれ


ズバンッ

近くの仮面ランサーを吹き飛ばした


それを冷静に眺めていたリーダーは
ニヤリとすると


「ほほぅ、我ら運営直属執行部隊【イヴィル】に刃向うとはな」


と言って、仲間に手を上げて合図をした


「おとなしくしろ!」

そう言いながら突進してくる仮面ランサーを見て
今の合図は攻撃の合図だと解った

軽く10人を超えるであろう仮面ランサー達
それが一斉に僕とクランツに向けて攻撃してくる

「くっ!」

僕はやむなく左右にある腰のホルスターから
右と左の拳銃をそれぞれ抜き構える

「訳も分からないまま捕まる事はしません!」


僕は目前へ迫ってきた仮面ランサーに照準を合わせる

「ごめんなさいっ」


【ライトニングショット】

バリバリバリ


僕が放った弾丸は
激しく放電しながら仮面ランサーへと向かう


ドォン!

仮面ランサーにその弾丸が命中すると
爆発音を響かせながら、その周囲の仮面ランサーをも吹き飛ばした


1482224
1287355
2644786 クリティカル!!
1266648
1356565


吹き飛んでゆく仮面ランサー達の頭の上には
それぞれに何やら数字が表示されていた


「な、一撃で5人部下がやられた!?」

リーダーは驚きながら
少し後退する

「お前っ・・・すごいなっ・・・と」

クランツは反対側から攻めてきた仮面ランサーと
鍔迫り合いをしながら僕の攻撃に称賛の声を上げる

一方僕はと言うと

「なんでだろう・・・全て手に取るように解るっ!」

スッ、スッ


吹き飛ばされなかった仮面ランサーが数名取り囲みながら
槍で突いて来るのだが、全ての攻撃が

そう、スローモーションのように感じられる


先ほど無意識で電撃を纏った銃弾を放った時から
何か自分の中で弾けるような感覚を覚えていた

それから、何かが覚醒したかのように
周囲の動きや状況が手に取るように解った

「悪いけどっ、反撃させてもらいますよっ!」

仮面ランサーの攻撃を避けつつ
僕は彼らに向けて銃の引き金を引いた


「そこだ!」

【ツインバレット】


僕は2丁の拳銃の引き金を交互に引く

パパンッ!
パパンッ!


825644 810046
807222 792450

2人の仮面ランサーに2発づつ命中すると
また頭の上に数字が表示され、2人は力を失ったように地に伏せた


「くっ、何なんだコイツは!それにこのダメージは尋常じゃないぞ!」

リーダーらしき男が取り乱しながら叫ぶと
それを見ていた他の仮面ランサー達は
少し動揺しながら、少し俺たちから距離を取り始めた


それを見て
クランツが剣で威嚇しながらこちらに寄ってくる


「ジグ、合図したら出口に走るぞ」

クランツが背中を預けるように僕にくっついてくると
僕にだけ聞こえる程の音量でそう囁いた


「クソッ、おいお前・・・アイツらを呼べ」

リーダーが隣にいる仮面ランサーに
悔しそうな表情をしながらそう指示すると

その仮面ランサーはシステムビルの奥へと走ってゆく


他の仮面ランサー数名が
その走ってゆく仮面ランサーを見つめているのを見ると
クランツはそれを隙だと判断して叫ぶ

「ジグ!今だ!」

クランツの声を聞くと、僕は拳銃をホルスターにしまい
全速力で出口へ走る


ズザッ!

「・・・え?」


普通に全速力で走ったつもりだったのだが
20メートル以上の距離を、僕は・・・いや僕の感覚では
たったの1歩程でたどり着いてしまった

後ろを振り返ると
クランツが必死に走ってきている


「逃がすな!絶対に逃がすな!」

リーダーの声をバックに
クランツは必死な顔でこちらに向かってくる



僕はホルスターから拳銃を抜くと
クランツに当たらないように援護射撃する

パパンッ!
パパンッ!

仮面ランサーのうち数名がクランツに追いつきそうだったが
僕の援護射撃に怯んでくれたお陰で
クランツはつかまらずに僕の元へたどり着いた

「はあっ、はあっ、どうも走るのは苦手でな・・・」


たった20メートル程であったが
クランツは息絶え絶えだ

クランツがこれ以上走るのは無理だと悟った僕は
彼を小脇にかかえると


【輝翼】


能力を使った

僕の背中からは、光輝く翼
・・・いや、光そのもので形成された翼が現れる

「なんだ・・・それは」

言葉を失いかけているクランツを無視して
彼を抱えている手に力を込めると

僕は・・・飛んだ


「あれはまさかっ・・・」

追いついてきたリーダーや
仮面ランサー達は驚愕の表情で
空へと舞い上がった僕らを見つめる

そして呆然と立ち尽くす彼らを確認すると
僕はクランツを抱えたまま空を移動した



どうしてこんな力が使えるのかは解らないが
その力の使い方は、頭の中に確実に記憶されていた


・・・そして

心地よく風を切りながら
特に何を話すでも無く僕達はしばらく飛び続けた



この時から僕達の・・・僕の逃走が始まった



~3章完~




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