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Who is “JIRO”?

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2010/05/08
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テーマ:心の病(7318)
「もう,ボケてしもうてダメばい。」
親父の口癖だった。
それを聞くたびに,
「自分で『ボケとる』っていう間は大丈夫さ。」
と言っていた。

私はすっかり足が遠のいてしまったが,囲碁教室に親父は通っている。私は夜の部に向かう車の中で,子どもたちの成長の様子を聞いていた。

母の退院病院が明日に決まった。
A子が母の荷物を少し持って帰ってきた。
「夜,お父さんのところに行くときに持って行って。」

いつもの出掛ける時間になって,実家に向かう。
荷物を持って玄関へ。…鍵鍵がかかっている。
いつも開けっぱなしで不用心なぐらいなのに。
ノッカーを叩く。この家のノッカーの音はデカイ。
うるさい!と感じるものなのだが…親父は出てこない。
ゲ…。ショック
バイクがあるので,間違いなくいるはずなのだが…。
一旦車に戻って,実家の鍵を取り出す。
鍵を開けてみると…ガタン!
チェーンがかかっている!!
なんじゃこりゃあ…。ほえー
家の中は暗い。
「お父さん!」
返事がない。…孤独死か??びっくり
再び車に戻って,携帯を取り出して裏口へ向かうと2階の電気ひらめきがついていた。
電話のコールに親父の対応は思いの外早かった。
「もしもし。お父さん?2階におると?」
「うん。」
「ノックしても呼んでも出てこんし,チェーンまでかかっとるけん,何事かって思うた。」

「うん,何ばしよったってこともなかばってん,することもなかし,2階でボーッとしとった。すぐに開けるたい。」
親父が出てきたので,私は玄関に母の荷物を置いた。
「お母さんの荷物けど,このままここに置いとってってさ。」
「うん,わかった。」
そして車に戻って,しばらく待っていると…親父が出てこない。
もう一度,玄関へ。
「急がんでもいいけど,火の元とかよう確かめて来んね。」
すると親父はステテコ姿のまんま出てきた。目
「…夜の部,行かんと?」
「…あぁ,そうか。今日は土曜日やったね。忘れとった。でも,体調もようなかし…行かんでもよか。」
「そう。無理して行かんでもよかけどさ。」
「…碁ば打っとったら,少しは時間つぶしにはなるたいね…。」

ヘボ碁が大好きな親父が行くのをためらっている。そもそも,夜の部に出かける日だということを忘れていること自体,ありえない。どくろ
家の2階で,一人で何をしていたんだろう。
パソコンで遊びよった?本ば読みよった?寝とった?
車の中でいろいろ聞いてみたが,どれにも頷かなかった。
…ボーッとしとった。わからん
本当にボーッとしてたんだろう。
話し相手もなく…これといってやりたいこともなく…。

親父は5戦全敗だった。
私は1勝1敗。
これが,本物のボケの始まりなのだろうか…。
母が退院して,話し相手ができればちょっとは違ってくるのか…。
ちょっと,気がかりが増えた。





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最終更新日  2010/05/09 03:25:40 PM
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