笹本敦史のブログ

2007/11/04(日)08:04

「オリヲン座からの招待状」役者はそろっているが

映画(237)

監督 三枝健起 少しあらすじ  昭和25年の開館以来、オリヲン座の館主を務めてきた豊田松蔵(宇崎竜童)が病に倒れる。そして弟子だった留吉(加瀬亮)が志を引き継ぎ、先代の妻トヨ(宮沢りえ)と映画館を守ることになった。映画産業が斜陽になり、周囲の人間に陰口をたたかれながらも、2人はオリヲン座を守り続ける。 感想  浅田次郎の原作は読んだことがあるが、まったく忘れていた。映画を観ながら「こんな作品だったかな?」と思ったので、後で読み返してみたが、原作と映画とはまったく別物。  映画は留吉とトヨの物語である。子どものころにオリヲン座を隠れ家のようにして育ち、後に結婚した祐次(田口トモロヲ)と良枝(樋口可南子)の話はサイドストーリーとして描かれている。一方原作は、離婚できないままに別居している祐次と良枝の物語である。  原作と比べてしまうと物足りない。祐次と良枝が別居している理由とか留吉とトヨの男女関係とか、けっこう重い要素が描かれていないので物語として中途半端になっている。映画化にあたっての原作の換骨奪胎はよくあることだし、その方が映画的に成功することが多いが、これなら原作どおりにつくった方が良いと思う。  それではつまらないかと言えばそうでもない。  良い役者がそろっているので退屈はしない。宮沢りえと加瀬亮は何をやっても安心して見ていられる。強いて言えば15才(原作によれば)も歳が離れているように見えないのが難点だが、やはり二人とも上手い。それに樋口可南子が良い。恋をしている女の色気にひきつけられる。

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