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カテゴリ:読書
出生前診断によって、障害児が生まれる前に堕胎されることがカジュアルになったのだから、「堕胎するために孕もうとする障害者がいてもいいんじゃない?」と主人公は考える。
堕胎がカジュアルなものになっているという認識が正しいのか。出生前診断の結果に多くのカップルは苦悩し、どちらを選んでも苦しい決断を迫られるのではないのか。 主人公はモナ・リザを汚したくなる理由を「壊れずに残って古びていくことに価値のあるものがたちが嫌いなのだ」というが、歴史的建造物や絵画は古びていくことに価値があるわけではない。 そのように主人公の主張には、自分の論理に合わせるための事実のすり替えがある。もちろん主人公に共感できない作品がすべてつまらないというつもりはないが、これはつまらない露悪趣味のように感じる。 ただ障害者にとって紙の本を読むことがいかに困難なことか、など当事者でないとわからないことをいくつか気づかされ、興味深いところもある。 ![]() ハンチバック [ 市川 沙央 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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