2009/07/10(金)19:07
カーズ
2006年7月公開
監督:ジョン・ラセター
製作費:1億2千万ドル
アニメーションスタジオ、ピクサー製作による、フル3DCGの長編アニメーション。
トイ・ストーリー『1』『2』や『バグズ・ライフ』のヒットで知られる、ジョン・ラセターが監督・脚本を務めた。
登場人物はすべて車を擬人化したキャラクターで、『ファインディング・ニモ』などのように人間は登場しない。
[簡単なあらすじ]
レーシングカー、ライトニング・マックィーンは新人ながらも権威あるカーレース「ピストン・カップ」で、優勝を狙えるほどの好成績を収めていた。
ところが、肝心の最終レースでキング、チック・ヒックスらと3台同着による同時優勝となってしまったため、カリフォルニアで行われる優勝決定レースで決着をつけることになる。
一刻も早く現地に到着したいマックィーンは、相棒のトレーラートラック、マックを急き立ててカリフォルニアに向かおうがするが、あるアクシデントにより“ラジエーター・スプリングス”という田舎町で足止めを食うことになってしまう――
『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』に続く、ディズニー&ピクサー製作によるフル3DCGアニメ作品の第7作です。
(次作は2007年公開の『レミーのおいしいレストラン』)
日本におけるスタジオ・ジブリの宮崎アニメのように、定番となったピクサーのフルCGアニメで、歴代のシリーズ作品同様、子供から大人まで楽しめる感動作。
今回は、擬人化された車たちが主人公、ということで特に男のお子さんが楽しめそう。
人を信頼することの素晴らしさ、仲間との繋がりとその大切さ、といった生きていく上でとても大切なことをあらためて教えてくれる、寓話的物語でもあります。
ピクサーのCG技術の進歩も素晴らしく、車体に反射する光の加減や、背景の自然の美しさなど、驚くほどリアル。
(特に車が発進した時の、タイヤに巻かれた砂利の飛び散りが、念入りに描写されていてすごい)
さすが、大手製作会社。
安定したレベルの高さで作品を提供してくれます。
ただし、やや不満点もあり。
前作『Mr.インクレディブル』がアニメ作品でありながらも、息をつかせぬアクション、事件の謎に迫るミステリ、ハラハラドキドキの展開で進むサスペンス、と大人でも十分楽しめるレベルの高いストーリーだったのに対し、本作は教訓的な話に終始しているため、やや単調なきらいが。
よくいえばシンプル、悪くいうと子供向け、といったところでしょうか。
(といっても、そもそもが完全な子供向け作品なので、文句をいうのも筋違いなのですけれども……)
“仲間との信頼”というテーマはとても大切なものだけど、ありふれたもので目新しさがないことも事実。
ストーリーラインが単調にならないように、もう少しなにかひねった見せ方をしてくれるとよかったかも。
少々過剰気味に自己中な、主人公のレースカー、マックィーン。
後半部との対比のためとはいえ、前半部の傲慢さが鼻につきすぎて観ているのが苦痛でした……。
アメリカでは、このくらい自己主張をするのが普通なのでしょうか?
尺(時間)の関係とはいえ、随分あっさりと改心してしまうのも腑に落ちないポイント。
サリーと仲良くしたいだけなのでは? とかねぇ。
極端に抜けたところのあるキャラクター、メーター。
『ニモ』のドリーといい、アメリカの子供向けアニメには、こういうキャラが必須なのかな?
正直、観ていてあまりいい気持ちもしないような。
実は凄腕のレーサーだった、ドック。
マックィーンとの師弟関係はよかったです。こういうのは好き(笑)
素朴なラジエーター・スプリングスの住人との触れ合いによって、マックィーンが人との信頼関係というものの大切さを知る、という大テーマは非常に感動的。
しかし、前半のマックィーンの傲慢さがあまりに酷すぎたため、なんだか釈然としないものが残ってしまうんですよねぇ。
登場人物がみな車であるという設定も、“バイパスの建設によって寂れた街”という点以外ではそれほど関係がなかったのも残念。
もう少し、なにか絡ませたエピソードなどがあればよかったかも。
西洋・日本と国を問わず、人類普遍のテーマである“仲間”というものを丁寧に扱った映画だけに、それを学ぶためにも子供さんには是非一度は観て欲しい作品。
しかし、大人が娯楽として楽しめるレベルの“映画作品”か、といわれると若干の疑問符がつきそう。
アメリカとの細かい精神的な文化の違いが、自分の肌には合わなかったようです。残念。
単純なアメコミ映画は好きなんだけどなぁ。
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カーズ
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ピクサー製作アニメの記事はコチラ
⇒「ファインディング・ニモ」
⇒「Mr.インクレディブル」