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カテゴリ:アトピー
またあいだが空いてしまいましたが、これまでのことを思い出しながら、書いてみたいと思います。アトピーやステロイドなどについては、さまざまな見方があります。読みたくない方は、どうぞこのまま通り過ぎてください。
前回の日記は、こちらです。 N医師の病院での治療の2日目からは、だいたいこのようなスケジュールでした。 旅館で朝食を食べて、しばらくすると病院から迎えのマイクロバスがやって来て、それにみなで乗り込みます。 私の泊まっていた旅館には、同じような人たちが、下は小学生から、上は50歳代くらいまで、確か30人くらいはいました。 ほかにも、いくつもの旅館に分かれて患者が宿泊していて、次々にマイクロバスで運ばれて来て、全身への薬の塗布をおこなってもらうために順番を待ちます。 旅館の周りには海と砂浜以外に何もないところだったので、この待ち時間のあいだに、昼食や身の回りのものなどの買い物を済ませたりして過ごしました。そして、同じ旅館の人たちの処置が全て済んだところでマイクロバスに乗り込み、引き上げます。 その車中、みんなそれぞれ、これまでにやって来たあの手この手の治療についての話題が出ました。 温泉療法を始め、ありとあらゆる情報が行き交いました。 やはり、ここまでやって来る決断をするからには、どの人にもそれなりのことがあったのだな、と思いました。 午後は洗濯、昼寝、おしゃべり。。 2日目からは相部屋となり、同室になった人が二人とも同年代で、さらにそのうちの一人は私と同種の職業だったということもあり、いろんな話をしました。 一度は、夜タクシーに乗って、カラオケにも行きました。 50歳代の真っ黒になっていた男性が誘ってくれて、くっさい薬でプンプンにさせながら5~6人でやたら陽気に騒ぎまくりました。 男の人は、毎晩遅くまでパチンコに行ったり、深酒でドンチャン騒ぎをしたりしていました。 日常の世界から離れて、タガが外れているようでした。 ここの病院から飲むようにと出される、ある健康食品があるのですが、これを飲むとお酒を飲んでも煙草を飲んでも、これまでのようにアトピーが出ない、夢のようだ、とハイになって盛り上がっていました。 1週間から10日ほどと、短期決戦のため、毎朝その日に出て行く人がいます。 よくなったという人もいて、その人を見ると、ほんの数日前にすごく悪かったとは信じられないほど、自然に、フツーになっているなぁと思いました。 でも私を含め同室の3人は、よくなることができませんでした。 私の場合は、薬の上塗り上塗りで、大きな化膿のおできが出来てしまいました。 お風呂で洗い流すこともなく、ただ毎日上から塗り続ける治療でした。 処置の際にそれを見てもらいましたが、「これは破裂してしまわないとダメだから。上から消毒してもしょうがないし、今日もこれまでと同じようにしましょう」と、べっとり塗られてぐるぐる巻かれてしまいました。 翌週にはN医師の診察があると聞かされ、それを受けたら経過のよくない私は帰れなくなるかもしれないと思い、翌日、いつもの処置を受ける前に常駐している医師に診察してもらって、よくなるどころか悪くなっていると説明して、治療をやめることにしました。 旅館では、すっかり顔なじみになった人たちがのんびりとロビーでおしゃべりしている中、ひとりタクシーでそこを後にするのは、何ともいえない気持ちでした。 フェリー乗り場までの道のりは、おそろしいくらい真っ青に晴れ渡っていて、くねくね曲がる道の右手にちらちらと真っ青の海と白い波が見えました。 なんでこんなにきれいんだろう、もう!と、めっちゃ腹が立ちました。 あ~そういえば私、四国なんか来たの、これが初めてやったと、そのときやっと気づきました。 やめると決めた日の夜に、同室の2人とは連絡先を交換し合ったのですが、家に帰って手紙を出してみると、2人とも出した手紙が届かず帰ってきました。確かにあったことなのに、ひとりで家にいると、あそこでのことが全てなかったことのような気になることもあります。 あそこでポカッと何かが抜けてしまったようにケラケラカタカタと笑っていた人たちも、みんな、ひとときだけ別世界に来ているんだ、と思っていたのでしょう。 バラバラに散って行って、あれから以後会うことのない人たちは、どんな現実の世界に戻っていったのかと今でもときどき思うことがあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.03.24 18:46:39
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