|
カテゴリ:読書
村山由佳の『天使の卵』を読みました。
このような純然たる恋愛小説というのは、あまり読む機会がありません。 なんだか、手に取るのがこっぱずかしいというか。 これもいつものように、家にあったので読むことにしたのですが、堂々とオーソドックスな、素直で切ない恋愛小説、なかなかよかったです。 あらすじを書くと、あまりにありきたりな話に聞こえてしまいそうなので、やめておきます。 奇をてらった設定などは一切ないし、思いもつかないような大どんでん返しが起こったりもしません。 ありきたりといえば、ありきたり。 でも、だからこそ読む側にも現実味があって、文章のひとつひとつに、重みを感じます。 その言葉は、どれも真っ直ぐ素直で、のびやか。 前回『翼 cry for the moon』を読んだときにも感じたのですが、この人の作品はどれも、頭の中で理屈をこね回してつくられたものではなく、実際の行動から生まれた、実感が綴られてできたものだと感じます。 言葉のひとつひとつに実感がともなっているので、リクツっぽい説明は不要で、おおらかで、力強ささえ感じられるのです。 読む側としても、作者とまったく同じ体験をしているわけではないにしても、何かしら自分の体験との共通項を見つけて、言葉が単に頭の上をかすめるのでなく、じっくり心に沁みわたるように共感することが出来ます。 単純な言葉で、単純なストーリーが綴られているだけなのだけど、この人の作品には、そういうギュッと人の心を捉える力がある、と感じました。 第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。デビュー作。 秋には、映画化され公開される予定。 天使の卵(エンジェルス・エッグ) ____________________________________________________________________________________________________ 昨日の晩ごはん ・舌平目の煮付け ・里芋とするめいかの煮物 ・酢の物(たこ、きゅうり) ・中華スープ(レタスの外側の緑の葉、溶き卵。味付けは塩・胡椒。出汁として、豚バラの塊を塩茹でしたときの茹で汁)← 廃物利用の一品とは思えぬウマさ♪でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.05.12 09:31:19
コメント(0) | コメントを書く |