のんびり幸兵衛夢日記

2010/07/10(土)18:16

ウィニング・ラン

読書(211)

「ウイニング・ラン」(ハーラン・コーベン)を読みました。 マイロン・ボライターのシリーズ7作目。 そういえば、月曜日の朝刊の中ほどに、海外の書店売上ランキングが載っているのですが、こないだのは米国のもので、その上位にこの作者の「Caught」というのが入っていました。 そもそも、久々にこの人のを読んでみようという気になったのは、それを目にしたからだったような気がします。 この作品の前に出ている「パーフェクト・ゲーム」というのを、まだ読んでいないのですが、どうもそこでマイロンは自らをよくない状況に追い込んでしまったようで、スポーツ・エージェント業の顧客を何人も失っており、今回はスポーツについてはあまり出てきません。 今回は、家族とか親子のつながりといったものが、テーマになっています。 ファンコーニ貧血の子供を救うために骨髄移植のドナーを探すのが、今回のマイロンの仕事です。 ファンコーニ貧血という言葉は初めて目にしました。あとでネットで見ると、先天性の再生不良性貧血のことのようです。 最後の「謝辞」というところにチラッと出てきますが、作者の奥さんが小児科のドクターなのだそう。作者のサイトとvital.comというサイトで確認してしまいました。便利な世の中ですな。 この作品の中でも、シリーズのこれまでのものではなかったことですが、何かといえばネットで情報を得て、物事を前に進めています。 このシリーズではこれまでも、主人公マイロンの携帯電話をずっとオンにしておいて、危機一髪と追い込まれたときに相棒のウィンがサッと現れ救ってくれる、という場面が何度も出てきます。 文明の利器に頼ることを頑固に拒む主人公を描くミステリー小説もある中で、この人は積極的にITを利用した世界を描いているのは、興味深いところです。 ただ、確かに現実には今の世の中は、このように物事が進むわけですが、謎解きという意味では、こういう方法で解決するのは面白味に欠けるのも、事実。 そのような、安直な問題解決としては、このシリーズの特徴として困難な状況では決まってウィンの暴力で物事を解決させていく、というところも、やはり気になります。 その点については、今は共同経営者となったエスペランサが以前から冷静に指摘していて、登場人物にそのようにしゃべらせることで、うまく批判をかわしている様な気がします。 私がいつも楽しみにしているのは、ビッグ・シンディが登場した時の、いちいち大げさな描写です。 それはないやろ~、そこまで言うかひどいな~と思いつつ、げらげら笑ってしまいます。 マイロンの軽口を読んでいてもいつも思うのですが、何でも気の持ちようだな、シビアな時もユーモアが大きな力になるな、と楽しい気分にさせられます。

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