2010/07/30(金)14:11
東京島
「東京島」(桐野夏生)を読みました。
これも最近母が買ったものみたいです。
桐野夏生は「顔に降りかかる雨」や村野ミロのシリーズなど、初期の作品をいくつか読んだ覚えがあります。
男性が描く女性像より、女性が描く女性像の方が、女の人は読んでしっくりはまると思いますが、この人はさらに、女性でありながら男性が書くように描くというか、そういう役割や既成の枠を取っ払った見方で書くところに、魅力があると思います。
これは、そういう人だから書けた作品だとは思いますが、ちょっと、破れかぶれというかハチャメチャというか。
これは実写の映画よりも、漫画本にした方がふさわしいように思いました。
無人島に漂着した人たちがどうなるかという話。
中国人(ホンコン)は獲った魚や海草や果物などを加工したり保存したりと、すぐに適応し、乏しい材料で労力を惜しまず船まで作ってしまうのに対し、日本人は生活能力が低く、貝殻でアクセサリーを作ったりバンドを組んだりと、「文化に走る」という対比は、おかしかったです。
突然このような過酷な条件に置かれた時に、どういう人が、どう変貌するかを描くことで、作者の、人間の性分や本性についてや、今のこの現実社会に対する見方が表されているように思いました。