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のんびり幸兵衛夢日記

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2012.10.29
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カテゴリ:読書
「仮面の男」(アレクサンドル・デュマ/石川登志夫・訳 角川文庫クラシックス)を読みました。
後ろの解説によると、前に読んだ「三銃士」、その続編の「二十年後」と続くダルタニャン物語という三部作の、最後の「ブラジュロンヌ子爵」の後編に当たるのが、この「仮面の男」。

ルイ14世の時代に、バスチーユに仮面をつけさせられた人が入れられていたという史実から、鉄仮面伝説というものがあって(実際は鉄ではなく布製の仮面だった)、さまざまな話が創作されたそうで、これもその一つ。
ルイ14世には実は双子の兄がいた、という設定。
三銃士の一人、アラミスがこの兄・フィリップを担いで失敗し、追われる身となります。

タイトルは「仮面の男」ですが、悲劇の人・フィリップが出てくるところは、あまり多くありません。
やっぱり、三銃士と、何といってもダルタニャンが主人公です。
しかし、「三銃士」のころの若さはもう彼らにはなく、白髪交じりで年を取っています。
話全体に、物悲しい、寂しい雰囲気が漂っています。

さらに、三銃士のうちのポルトスとアトス、アトスの息子のラウール、そして最後にはダルタニャンが死んでしまいます。
物語全体を通じて、「死」の場面が何度も描かれています。
三部作の最初の、若くて元気ではつらつとした雰囲気とは、ずいぶん趣が異なり、複雑な気持ちで読みました。

とはいえ、この物語もとても魅力的です。
特に、アラミスとポルトスが洞窟で決死の戦いをした末に、ポルトスが命を落とす場面。
映画の派手なアクションシーンのような、圧倒的な「動」と、対照的にポルトスが最後の最後まで怪力で頑張るのに、ついに尽きる「静」の部分との対比。
それから、息子のラウールと別れてから、どんどん弱っていって、夢と現をさまよい、最期に息子の死を知って亡くなるまでのアトスの様子も、今の時期に読むと何だか身につまされて、ジーンときました。

ラウール(ブラジュロンヌ子爵)と、かつての恋人でルイ14世の愛人になっているヴァリエールとの経緯は、おそらく「ブラジュロンヌ子爵」の前編の部分で詳しく描かれているのだと思いますが、ここのところの事情がもっと詳しく分かれば、より感情移入して読めたんじゃないかなあと思いました。

ダルタニャンの最期は、拍子抜けするほどあっけない描き方で、死んだ、終わり。という感じで、物語が終わってしまいます。
でもそれが逆に、余韻を残す効果をもたらしていると思います。
諸行無常の響きあり、っちゅう感じです。

ただ一人生き残ったアラミス。このアラミスのしたたかさ、しぶとさ、不気味さにも、圧倒されました。こんな人だったけか。
神職にあるわけですが、誰より現世に対する執着が強くて、策士です。

それにしても、訳がかたいっっ!!
~に御座候とか、お隠れになるとか。
確かに時代的には、そういうことになるのかもしれんけれども、デュマの文章が時代がかっているということもあるのかもしれんとも思うけれども、でも何だか、おフランスと御座候は合わない気が。
初版が昭和29年なので、仕方がないか。

でも、そういう漢字羅列のお堅い文章だったからこそ、ポルトスの最期やアトスの終末が、引き立っているような気がしました。





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最終更新日  2012.10.29 22:26:00
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