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のんびり幸兵衛夢日記

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2012.11.05
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カテゴリ:読書
神去なあなあ日常 」(三浦しをん)を読みました。
目のつけどころがさすが三浦しをん。文庫本の帯に、「林業っておもしれー!」。これにつられて母が買ってきたものを読みました。

横浜で生まれ育った、いかにも現代っ子な平野勇気、18歳。
高校を出たら、何となくフリーターでやっていこうと思っていたのに、担任と母親によって林業の現場に放り込まれてしまう。
最初は逃げ出すことばかり考えていたけど、だんだん神去村の自然や林業の面白さに魅せられて、これからもここで暮らしていくのかなあという気分になってくる、というような話。

まあ、そこそこ面白い。

「風が強く吹いている」で、お正月に何気なく見る箱根駅伝って、こんなに熱くて深い世界なのか!という驚きを味わわせてくれた作者なので、林業についてもそういうディープな面白さを期待して読みました。
でも、この作品は、ちょっと浅い。

走るという行為は、誰にでも経験のある基本的な動作なので、身体的な実感を伴って、書くことができるし、読むことがもきる。
けれども、この小説で林業を取り上げているのは、そもそも関わりを持ったことのある人が少なく、多くの人にとって遠い存在であるからこそ。

だから、主人公同様、全く何も分からない読者が分かるように、どうしても説明調になってしまうし、面白いと感じて読み進めてくれる程度の深さにしか掘り下げられない。
読むほうも、暑さとか肉体的なきつさとか、分かるところもあるものの、深い森に入ったときの感覚とか、百年千年単位で物事を考える世界観などは、実体験を伴い身をもって分かるという感覚にはなれない。
そういう、限界も感じました。

そもそも、主人公の勇気くんがいい子すぎる。
最初こそ、冗談じゃないと逃げ出そうとしますが、わりとすんなりと林業の世界にはまってしまいます。
こんなに素直な子なら、横浜で生まれ育っても、もうちょっと興味のある世界に一生懸命になるでしょう。
働きたくても就職が厳しくて、やむにやまれずというのでなく、何となくフリーターでという人間にはならないんじゃないかなあと、思いました。

実際はもっともっと大変だと思いますが、自然と一体となって行う林業の世界の一端がのぞけたり、昔からある村落の人々の思考や人間関係など、面白いところがいっぱいあっただけに、都会の何も考えずフリーター的思考のダメな子が、ど田舎で林業に染まって大変身!という薄っぺらい感じが、ちょっと残念に思いました。

でも、自然がきれいで、人間関係がしっかりしていて、それでいて軽い感じで、これはドラマとか映画とかにしやすそうだなあ。
見ないうちから、何となく目に浮かぶような。

実は、昨日は祖母のお葬式でした。
祖父が、弟と祖母を引き連れて、みんないっぺんにいってしまいました。
私の体調などいろいろ都合があって、私だけ始発電車で日帰りで行き来して、その電車の中でこの本を読みました。
そこも、いまどきこの日本にこんな田舎があるのかというようなところで、なんだかこの小説の世界とダブりました。





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最終更新日  2012.11.05 13:47:36
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