2007/06/08(金)01:46
第3話、当たって砕ける3
「確か、お父さんが弁護士って言ってたかな、、
ロイヤーって弁護士って意味だよね?
彼、確か自分の父親はロイヤーって言ったと思うんだけど、、」
大きな黒い瞳で菊ちゃんが必死になって電子辞書を引き出した。
「弁護士なんだ、、、」
「いいじゃん、、」
私はそういいながら、
百合をひじでつっついた、、
「彼の体毛が濃すぎるのがいやなんだけど、
ほら、「猿の惑星」を特殊メイク無しでいけそうな、
Tシャツの丸首から暴れるようにはみ出てるあの体毛、、、
あれが全身あると思うと、、、
でもあれさえ我慢すれば、、、
うまく行けば豪邸に住めるのかな、、、
もう後がないしね、、私、、、」
話しがほとんど終ったところで菊ちゃんが大声をあげた。
「あった~!弁護士って意味だよ、弁護士、すごいじゃない、
いいじゃん!」
あまりの間の悪さに私と百合は
笑みがこぼれてきた。
そして菊ちゃんはそんなことも知らずに自慢げに、
「じゃあこれからは、百合さんはロベルトと、道子さんはジミー探しね。」
と言った。
「じゃあ、菊ちゃんは?」
百合が少しからかうように菊ちゃんに聞いた。
「私?う~んどうしようかな、、日本で彼待ってるしね、、
ま、適当に遊んで彼の元へ帰るかな、、、」
「遊ぶって、どうやってあそぶのよ、、」
「ちょこっとつまみ食い程度かな、、あはは、、、、」
菊ちゃんは冗談ぽく最後ははぐらかしていた。
後々、純粋な菊ちゃんは実際につまみ食いを試みるのだが、
これがとんでもない展開になり
最終的には思わぬ結果を生み出すのだが、
その時の私達には知るよしも無く、
ただただ
このカナダでの生活は楽しい事ばかりが待っているように
思えて、3人は胸をときめかせ微笑みあっていた。
新しくカナダで出来た私の友達は、
私に負けず劣らずめでたく浅はかで、
私はジミー探しを続けながらも
この私達の浅はかな計算によって
私達の「運命の人」探しが
バンクーバーにて幕をきったのである。
それから1週間後、
学校と家との往復では
出会う数にも限られていることを悟り、
私は「出会い」のために仕事探しを始めたのだ。
続く
いつも有難うございます