schatzky☆ドイツ忘我と結実の境。

ドイツの大学院生は、学生じゃないの?


博士課程在学者は在学者ならず?
2006年現在の話です。

今日はちょっと専門的なお話になります。

日本では、院生だろうが学部生だろうが、学生に変わりはありません。学部一年生から修士を経て、博士課程まで、(授業料免除を受けている場合を除いて)大体みんな授業料を払って講義やゼミに参加しています(たまに私立大で授業料のない大学もあるようですが)。 でも、ドイツはちょっと違うのです。

まず、こちらでは修士課程までが学生になります。学部生と修士生という区別はなく、修士号を取るか、それに相当する国家試験に合格した時点でいわゆる大学卒業(修了)になります。最近ではバチェラーという短期卒業プログラムもできてきましたが、これは短大のようなものとして受け入れられています。 補足:2012年現在、バチェラー課程は日本でのバチェラーと同じような程度と認められるようになっているようです。 そして、日本でいう院生生活は博士課程に入ってから始まります。

博士論文を書く人たちは大学に所属はしますが、必ずしも「授業料を払うべき学生」ではありません。指導してくださる先生と学部の選考委員会に受け入れが認められて博士課程にはいっても、学生登録(バーデン・ヴュルテンベルク州は基本3年まで)をするのは各人の自由です。
補足:2006年から学生登録期間の延長が認められ、また、1年(2学期)間は学生登録が義務づけられるようにもなりました。この登録期間及び登録義務づけ期間は各大学によって異なります。
学生登録をすれば「学生」で、学生互助会運営費を納入して各種の恩恵を受けられますが、この期間の登録年数は学費納入義務が生じる年限には加算されません(14学期まで)。

また、例えば大学でアシスタントなどの何らかの職を得た場合、もちろん学生登録はしないことになります。この場合、論文書きの傍ら、大学で働くか(理系はこのパターン多し)、その外の固定の収入源が、大抵博士論文を書いている人の肩書きになります。経済系などでは、銀行やコンサルティング系で働きながら博論を書いている人が結構います(彼らの名刺にはもちろん、博論執筆中とは書いてありません)。
このような形で賃金収入を得る場合、保険組合加入の可否や、税金・年金の観点から勤労者として届け出た方が結局家計に有利になるとかで、学生登録をしないひとは沢山います。
補足:以下は2006年から暫くの間のことでした。 2012年現在、テュービンゲンにおいては、学生登録をしていなくても、 xx指導教官の下で博士論文を書いているという学部事務局や指導教官の証明があれば、一般の学生と同様に90日間、もしくは半日x180回分のアルバイトが認められます。(テュービンゲン/ロイトリンゲンの役所に確認済み) ただし、バイエルンではまだ、以下に書いてある制限があるとの情報があります。ほかの州で博論を書く方は各自確認をお願いします。
さて、日本人が博士課程に留学する場合、ビザ上の問題で一つ気をつけることがあります。
こちらでバイトをしたい場合には、学生登録が必要なのです。
学生ビザの申請には、指導教官か所属学部の証明、健康保険証明、収入証明が必要になります。ここで、普通の学生として登録をした場合は、在学証明が必要ですが、博士課程の学生には、在学証明は要求されません。
学生としての労働許可は、学生登録に付属してくるもので、学生ビザに「90日分かもしくは半日を180回分、働いてよろしい」という制限付き許可が明記されます。この学生登録、先ほども書いたように、博士課程在籍者の場合はしてもしなくても良いわけですが、しない場合、労働許可は全くありません。半日バイトですら、違法になります。ですから、学生登録をしている人は、申請の際にぜひ学生登録証明を持っていってください。ただ単に博士論文を書きます、という名目でビザを申請した場合、労働許可が全くないビザをもらうことになります。

もしもあなたがとても長い期間、博士論文を書くつもりでいる場合、最初は普通の学生として登録することをお勧めします。なぜなら博士課程学生としての「学生登録」期間は各州によって制限がなされており、それ以上は病気、経済上の理由などがない限り、延長不可能になる場合があるからです。博士課程在籍者としての期限は全くないといって良いほどですが、「学生」としての身分は例えばBW州なら3年しかないのです。これは州によって異なりますが、近年、どこの州でも厳しくなる一方です。延長申請はできなくはありませんが、骨が折れ、学期ごとに余計な重荷を背負うことになります。 補足:上でも補足しましたが、学生登録は2006年以降、延長が可能になっています。 これは州法が博士課程の学生登録延長に関する法律をいつまでも定めないため、現在は各大学が自由に詳細を決定できるという事になっており、テュービンゲン大学は留学生への配慮もあって、延長可能という措置を取っているためです。なお、この学生登録については各大学によって規定が異なり、延長ができないところもしっかり存在します。博論を書く方は最初にご自分の大学の規定を確認し、もし登録期間が限定されているようであればそれなりの措置を取るようにしてください。 DAADなどから十分な奨学金を得ている、研究期間は限定されているなどの理由がない限り、なるべくバイトへの道も開いておいた方がよいように思います。

おまけ。
先日、博士課程にいるアメリカから来ている友人は、勤労者として登録した方が芸術家関係の健康保険に加入できるからそっちに切り替えようかなぁとつぶやいていました。公的保険、私的保険、専門分野のひとしか入れない保険など、保険にもいろいろあって、各種保険によって保証される範囲も異なります。彼女は元バレリーナで、今はバレエの先生をして生計を立てています。その傍ら論文を書くっていってるんだけど、働くとやっぱり時間がないよ、と最近奨学金とりを目指して研究計画を練っています。


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