赤と黄色のチューリップ
チューリップを買った。いつも行く花屋は、インド人の男性が一人で切り盛りしている。最初は喫茶店などを巡って花売りをしていた彼は、もう何年か前から小さな店を持ち、毎日安く花を売っている。大きくてデコレーションがいくつもおいてある花屋は、バラなどの種類も多く、変わったものが買える代わりに高い。彼のところは、定番の花と、時々エキゾチックな種類の花が入る。毎日たくさんの種類の中から選びたかったら、外の花屋の方がいいかもしれない。その代わり、例えばとんでもなくいい香りのバラ(その代わり、数日しか持たない)などは、彼のところでしか手に入らない。彼のところでも、入るかはいらないかはその日の仕入れの具合に寄るのだが、入るときには彼のところに数本しかないのである。恐らく、外の花屋ではそういう仕入れの仕方をしないのだろう。彼はシーク教徒で、酒も肉も取らない。卵もだめである。行くと、いつも「お茶かコーヒーは如何」と聞いてくる。誰に対しても、そうである。「インドでは、ヒトとヒトとはそうやってつきあいます。店主がお客を敬わなかったらお客はもう来ないです」という。「でもドイツ人は皆忙しくて、話している暇、ほとんどないね」ふうむ。日本人も、たぶん同じだよ、おじさん。口には出さなかったけど、少なくとも東京ってそんなもののような気がする。私はとろいけど。お茶を飲んでいく人は三人に一人くらいかな。私はいつも断れずに一杯いただいてしまうが、そうすると30分くらいは時間が飛んでいく。気持ちいい時間だが、そういうことを繰り返しているから君の買い物は時間がかかるのさとドイツ人の友達は言う。まぁ、彼は買いたい品物のところへ直行して、なければない!と帰ってきてしまうから、ちょっとその先、曲がったところの店にあるかもしれないなどという発見がない。だから広がりがないね、というと笑っている。不思議なことに、インド人の店主は男性の顔は一発で覚えて忘れないのに、女性の顔は何回見てもだめだそうだ。私の顔も、覚えるまでに数ヶ月かかったらしい。連れていった友達はいっぺんで覚えていたのに、普通は逆ですよね、といって笑った覚えがある。女性には、いつも一本、おまけの花をくれる。今日は買おうと思っていた黄色いチューリップをくれた。それで、赤いチューリップを買って帰ってきた。1本70セント。100円くらいですかね。そう考えると、ちょっと高かったか。大輪のガーベラも150円くらいで売っている。多分、今日あった深紅のバラは2ユーロくらいだ。でも、チューリップが欲しかった。とある友達のところにあったチューリップをみて、ぁ!もうチューリップが買えるんだ!と思って以来、春の気配が漂うような気がして、チューリップチューリップと。気分を盛り上げたくて黄色を多めにしようか迷ったが、赤を買って、一本食事をごちそうしてくれた知人にあげた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・昨日の豚ヒレお尋ね、黄海月さんが美味しいレシピを書いてくださいました(^^)。