2012年8月28日、役所へ行ったら、
無期限の滞在許可申請手続き続行と、
さかさか事が運んだ、びっくりな日だった。
いろいろな事が重なって、
この日に手続きをした方がいろいろと面倒でないという
手続き規定をさっぱりすっぱり無視した判断をしてくれたのは、
休暇から帰ってきた、いつものおにーちゃんだった。
足りないっていわれた書類を持っていったんだよね。
「書類は揃ってるね」
「あと、指紋を押したりする手続きの予約を取って、1週間くらい先になるんだけど」
まあ、それはいいんだけど、
急に働くことになったところは常勤なので
フリーランスのビザだとどうなるの?っていうのがあって。
正規雇用の一種なので、労働許可、違うのがいりますかね?と話しかけてみた。
「うーん、そうかぁ…じゃあ、今日手続きしちゃうかぁ」
え?なんですと?
「写真持ってる?」
「登録料135ユーロなんだけど、持ってる?」
え、えっと、写真はいつも用意してある。
お金、ないよ。けど、銀行行ってきてもよければおろしてくるよ!
というわけで、なにやら手続きが進んだ!!
なんと!!
おにーちゃん、事務手続きの内規、思いっきり無視(笑)
ありがとうだなぁ…。
滞在許可のことで、言ってみれば戦いだしたのは、多分2008年だった。
博士論文を提出し、口頭試問を受け、そこでドイツでの勉学は一区切り(合格すればね)。
しかし、それは、終わりではない。
ドイツの博士号取得条件は、博士論文を「出版」すること。
正確には、出版しない限り博士号は取得できないし、
一定期間中に出版できなければ、博士号取得資格は剥奪されうる。
日本は違う。博論を出して、OKをもらって修了証が出れば、ドクター。
出版は不要。
さて、口頭試問を受ければあとは単なる出版だけだから~と
早々に博士を名乗りはじめる人もいるが
厳密に言うとそれは詐称にあたる。出版に検閲はないとはいえ、
出していないものは出していないのであり、大学からも博士号授与証書はもらえない。
その為、そういう「これから明らかに博士になります」という人たちには
Dr.des.という称号が用意されている(にもかかわらず、大学でいいといわれたという事を理由に早々とDr.と名乗る人もいる。いいか悪いかを判断するのは大学じゃなくて司法なのだが)。
話がずれた。滞在許可の話だ。
学生としての滞在資格、いわゆる「学生ビザ」なのだが
ドイツは入学式や卒業式というものがない。
マギスター、マスターといった「修士」や、
昨今流行の(企業受けはよろしくない)バチェラー、日本でいう「学士」は、
大抵、最終口頭試験修了=学業修了になる。
学生の在留資格は、学生でいる間だけ、発行される滞在許可。
つまり、試験が修了し、学業が修了となればその滞在許可は早晩無効になる
(知人のなかに試験終了後10日間で荷物をまとめて帰れといわれたイスラエル人がいる)。
次に、首尾良く修了した場合、ドイツでは、*1年間の「就職先探しのための滞在許可」が出る。
これは2005年からの措置。
*2013年に確認したら、この期間はいつからか、18ヶ月に延長されていた。めでたいことではある。
そこで、である。
博士号の場合、いったい「首尾良く修了」というのはいつになるのか。
これはまだ解釈が定まっておらず、自治体によってまちまち。
私が住んでいた街は、厳しく厳しく、最初は「論文提出で」といってきた。
アホちゃう?
論文提出したって、口頭試験はまだ残ってるんですけど。
抗議したら、「じゃあ、口頭試験日で」
私は学校に聞いてみた。
「そりゃあ、正確には出版しないと修了とは言えないね。」
というお答えだった。
しかしながら。この部分については、未だ解釈が分かれている。
自治体は、金ばかりかかる学生は追い出したいので、さっさと期限を切ろうとする。
しかし、誰がなんといおうと、
学問についての専門的な判断を下せる機関は、
役所ではなく、大学。
そうなんだけど、何か勘違いしている自治体は
「いや、そんなことはない」と言い張るんだな。
そんなわけで、うやむやむにゃむにゃと、
私の場合は不思議なことに、口頭試験から更に半年が過ぎた次の年の春、
2009年にいったん修了と見なされた。
理由は、2009年春にうちの教授が「博論が認められ、あと出版が残っています」
と一筆書いたからと。
まったく、アホですな…。
そんなアホな某大学街の自治体外人局とは異なり
後光が差して見えたのが、
今、住所をおいている隣町の自治体のおにーちゃんだった。
たぶん、あのおにーちゃんは、
よいように、よいようにと持っていってくれる
なんといったらいいんか、ポジティブな決定の仕方を模索していてくれたように思う。
ほんとに、最初におにーちゃんのところに書類持っていって良かった。
彼は、私のアルファベット頭文字では、本来全然関係ない掛なのであった。
その続きはまた今度って事で。