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昼下がり・・・一人ボンヤリと店番をしてた。
そこへ、みかけない男の人が一人入って来た。 観光客のようで、買い物をして、この辺りの史跡の話しをしていた。 しばらくすると、「このあたりに、○○っていうお店、ありますか?」 「う~~ん、ちょっと聞いた事ないかな・・・わからないなぁ。」 「そうですか、ありがとうございました。」 そう言って、店から出て行こうとした時、その人は一言残して行った。 「30年前の彼女なんです。」 「ん?????」 立ち去ったその人の後姿をボンヤリ見てたら、一瞬、頭に浮かんだ!! あ・・・・あのお店・・・。 不思議な感覚に襲われた。 たまに見掛ける、あるお店の女の人の姿が頭をよぎった。 そのお店の名前なんて、今まで聞いた事もないんだけど、何故かその人の姿が思い浮かんだ。 とっさに電話帳を開いて、男の人の言った名前を探す。 あった・・・住所は・・・え・・・・まさか・・・あのお店の辺り。 あわてて外に飛び出して、さっきの男の人の姿を探すが、もう見えない。 車で追い掛けたけど、結局、見つけられなかった。 どこへ行ったんだろう。 あのまま船に乗って、何処かへ帰って行ったのだろうか。 それとも、どこかでまた、その人を尋ねているのだろうか。 そんな事考えながら、家に帰って来た。 しかし・・・私は何してるんだろう。 「30年前の彼女」という言葉で、なんとか会わせてあげたい!なんて馬鹿なこと考えてしまった。 ホント、余計なおせっかいだよ。 そんなこと考えてたら、配達の電話。 え・・・・・うそ・・・・信じられない・・・・・マジ・・・・・?? 慌てて品物を持って配達に。 その配達先の家の向いに、まぎれもない、さっきの男の人が探していた○○というお店が・・・・。 夕暮れ時、その女の人は、忙しく立ち働いていた。 私は、道を挟んでこちらがわから、その人をしばらく見ていた。 そのうち、夕飯の仕度でもあるのか、女の人は店の奥に引っ込んで、かわりにおばあさんが店番を始めた。 ハハハ・・・私、何してるんだろう・・・。 あの男の人のノスタルジックな雰囲気に、すっかり呑まれてしまっていた。 30年も昔の話。 30年も前に分かれたオトコ。 相手にも、多分、自分にも、今の生活がある。 家族がいて、生活の為に働いて、ご飯食べて・・・。 いまさら昔のオトコの出る幕じゃないよ!! それなのに、真剣に探そうとした私・・・ホント、おせっかい。 見ず知らずのオトコの人の、たった一言に振り回されて、余計なおせっかい。 二人とも会わなくて良かったよ、きっと。 きっと、今は二人ともシアワセなんだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.03.05 00:15:50
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